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生コーヒー豆エキス Product name

効果・効能 Positie Effect

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(1) くすりとしてのコーヒーの歴史

歴史上,コーヒーに関する最古の記述は,11世紀のイスラム世界にまで遡ります。出典によると,イスラムの名医ラーゼスは,コーヒーを胃薬として使用していたようです。飲料としての利用が定着した16世紀になると,カフェインによる覚醒作用は,イスラムを経てヨーロッパに伝わり,アルコールにかわる刺激が,19世紀の産業革命に活気を与えたということです。今日,カフェインは薬理学の教科書にも記載され,その中枢興奮,覚醒および利尿作用は広く知られるところとなっております。さらに近年,コーヒーについて,以下の研究結果が報告され,刺激物から健康飲料*) へとコーヒーに対する人々の意識は変わりつつあります。
* Fukushima Y. et al., Coffee and green tea as a large source of antioxidant polyphenols in the Japanese population. J. Agric. Food Chem., 57, 1253-9 (2009).

(2)ストレスによって生じる活性酸素を除去

コーヒーのカフェインに,精神的ストレスを緩和する作用があることはよく知られていますが,飲料の中で最も強い抗酸化活性を有するコーヒーには,ストレスによって生じる活性酸素を消去する働きが期待できます。
Pellegrini N., et al., Total antioxidant capacity of plant foods, beverages and oils consumed in Italy assessed by three different in vitro assays. J. Nutr. 133, 2812-9 (2003).

(3)二日酔いを解消し,肝硬変を予防する

カフェインは,肝臓や腎臓の働きを活発にするので,二日酔いの原因となるアセトアルデヒドの分解を早めるとともに,利尿作用により分解物の排出が促進されます。さらに,1日にコーヒーを2杯以上飲む人は,肝硬変による死亡リスクが軽減すると報告されています。1) また最近では,ウィルス性肝炎に対する予防効果に関する報告もあります2)
1) Tverdal A., et al., Coffee intake and mortality from liver cirrhosis. Ann. Epidemiol. 13, 419-23 (2003).
2) Inoue M., et al., Effect of coffee and green tea consumption on the risk of liver cancer: cohort analysis by hepatitis virus infection status. Cancer Epidemiol. Biomarkers Prev. 18, 1746-53 (2009).

(4)HDL-コレステロールを上げ,動脈硬化を予防

HDL-コレステロールの数値が高い人は,動脈硬化を起こしにくいと言われています。コーヒーの飲用により,このHDL-コレステロールが増加したという報告があります。
Ehrlich A., et al., Effect of processed and non-processed coffee samples on gastric potential difference. Study with healthy male Helicobacter pylori-positive and Helicobacter pylori-negative volunteers. Arzneimittelforschung 49, 626-30 (1999).

(5)直腸ガンのリスクを軽減

愛知県ガンセンターから,1日にコーヒーを3杯以上飲む人は,直腸ガンになる危険度が半減するという調査結果が報告されています。この作用にはコーヒー中に含まれるクロロゲン酸の,抗腫瘍細胞活性の寄与が考えられます。
Inoue M., et al., Tea and coffee consumption and the risk of digestive tract cancers: data from a comparative case-referent study in Japan. Cancer Causes Control 9, 209-16 (1998). Jiang Y., et al., Induction of cytotoxicity by chlorogenic acid in human oral tumor cell lines. Phytomedicine 7, 483-91 (2000).

コーヒー生豆中には,クロロゲン酸を主体としたケイヒ酸誘導体が高濃度に含有されています。コーヒー摂取後,クロロゲン酸類は血中でカフェ酸の硫酸あるいはグルクロン酸抱合体として存在し,血中濃度は摂取1時間後にピークに達します1)。また,コーヒーとして摂取したクロロゲン酸の約3分の1が吸収されると報告されています2)。近年では,Farahら3) がコーヒー生豆由来のクロロゲン酸類の吸収性が高いことを報告しています。クロロゲン酸の抗糖尿病作用に関する研究として,肝臓における糖新生の最終段階の酵素であるグルコース-6-フォスファターゼ阻害作用4)やインスリン分泌促進作用5)が報告されています。糖新生は,ダイエット時における糖質の摂取制限によっても亢進し,脂肪燃焼の場の一つである筋肉を減少させることから,ダイエット後のリバウンドが懸念される生理現象です。したがってクロロゲン酸には,ダイエット時のサポート機能も期待できます。さらに臨床では,毎日90 mg 摂取することにより,食後過血糖を平均で15~20%抑制したという報告もあります6)

ダイエットにおいては,カフェインも重要な成分です。安静時のカフェイン摂取は,血中アドレナリンの上昇を伴うグルコース消費の促進を惹起します7)。一方,運動前の摂取では,換気機能や脂肪分解が促進し8),運動効率や持久力が向上することが報告されています9)。このように安静時,運動時の摂取によるダイエットサポート機能を有するカフェインですが,最近話題の素材であるカルニチンやコリンと併用することで,血中レプチンレベルや体脂肪の減少が,顕著にみられることもラットレベルで報告されています10)

従来カフェインは,インスリンの感受性を下げることから,糖尿病に対しては好ましくない成分であると考えられていました。しかし近年の臨床レポートには,肯定的な報告もあり,例えばコーヒーの摂取によりⅡ型糖尿病のリスクが軽減することが報告されています11)

図1. コーヒー生豆中に含まれる機能性成分

参考文献
1) コーヒー摂取後のクロロゲン酸の吸収〔ヒト,(1)〕
Naldini M., et al. Absorption of phenolic acids in humans after coffee consumption. J. Aglic. Food Chem. 50, 5735-41 (2002).
2) コーヒー摂取後のクロロゲン酸の吸収〔ヒト,(2)〕
Olthof M.R., et al. Chlorogenic acid and caffeic acid are absorbed in humans. J. Nutr. 131, 66-71 (2001).
3) コーヒー摂取後のクロロゲン酸の吸収〔ヒト,(3)〕
Farah A., et al. Chlorogenic acids from green coffee extract are highly bioavailable in humans. J. Nutr. 138, 2309-15 (2008).
4) クロロゲン酸のグルコース-6-フォスファターゼ阻害(in vitro)
Arion W.J., et al. Chlorogenic acid and hydroxynitrobenzaldehyde:new inhibitors of hepatic glucose 6-phosphatase. Arch. Biochem. Biophys. 339, 315-22 (1997).
5) クロロゲン酸のインスリン分泌促進作用(in vitro)
野村英作ら. フェルラ酸および関連化合物のインスリン分泌促進作用. 平成13年度和歌山県工業技術センター「研究報告」 17-9 (2001).
6) クロロゲン酸の食後過血糖抑制(ヒト)
Adidoff M.T., et al. Special clinical report for Russian Ministry of health. Moscou, clinical report 12 (1999).
7) 安静時のカフェイン摂取におけるグルコース消費の上昇(ヒト)
Greer F., et al. Caffeine ingestion decrease glucose disposal during a hyperinsulinemic-euglycemic clamp in sedentary humans. Diabetes 50, 2349-54 (2001).
8) カフェイン摂取による運動持続性向上効果(ラットおよびヒト)
Ryu S., et al. Caffeine as a lipolytic food component increases endurance performance in rats and athletes. J. Nutr. Sci. Vitaminol. 47, 139-46 (2001).
9) コーヒー及びカフェイン摂取による代謝及び運動持続性の向上効果(ヒト)
Graham T.E., et al. Metabolic and exercise endurance effects of coffee and caffeine ingestion. J. Appl. Physiol. 85, 883-9 (1998).
10) カフェイン,カルニチン及びコリンの体脂肪及び血清レプチン減少作用(ラット)
Hungu N., et al. Caffeine, carnitine and choline supplementation of rats decreases body fat and serum leptin concentration as dose exercise. J. Nutr. Physiol. 130, 152-7 (2001).
11) コーヒーの摂取とⅡ型糖尿病のリスクとの関係(ヒト)
a) Van Dam R.M., et al. Coffee consumption and risk of type 2 diabetes mellitus. Lancet 360, 1477-8 (2002)., b) Tuomilehto J., et al., Coffee consumption and risk of type 2 diabetes mellitus among middle aged Finnish men and woman. J. Am. Med. Assoc. 291, 1213-9 (2004). c) Oba S., et al., Consumption of coffee, green tea, oolong tea, black tea, chocolate snacks and the caffeine content in relation to risk of diabetes in Japanese men and women. Br. J. Nutr. 103, 453-9 (2010).

脂肪吸収抑制作用

① 脂肪吸収遅延作用(in vivo)

飲料のコーヒーが,消化管運動(胃内容物排出および腸管運動)を抑制することがよく知られており,生コーヒー豆エキスにも摂取脂肪の吸収を遅延させる可能性が示唆されました。そこで,マウスにオリーブ油を単回投与し,脂肪吸収に及ぼす作用を調べました。その結果,生コーヒー豆エキスの前投与により,対照群と比較して有意な血中トリグリセリドの上昇抑制が認められました。(図2)またカフェインとクロロゲン酸を,エキス中の含有量に応じて経口投与し,同様の評価を行ったところ,カフェインに強い血中トリグリセリド上昇抑制作用が認められました。この結果より,生コーヒー豆エキスに含有されるカフェインには,強い脂肪吸収抑制作用があることが判明しました。

図2. 生コーヒー豆エキスおよび含有成分のオリーブ油負荷マウスにおける血中トリグリセリド上昇に及ぼす作用
[n=6,平均値±標準誤差,有意差**:p<0.01(Dunnettの多重比較検定)]

【実験方法】
絶食(20時間)したマウス(ddY,雄,6週齢)から採血を行い,30分後に,生コーヒー豆エキスまたは含有成分の5w/v %アラビアガム懸濁液(10 mL/kg)を経口投与した。1時間後にオリーブ油(5 mL/kg)を経口投与し,その後2,4および6時間目において採血を行った。得られた血液から血清を分離し,トリグリセリド濃度を酵素法(トリグリセリドE-テストワコー,和光純薬工業社製)を用いて測定した。

② リパーゼ阻害活性(in vitro)

生コーヒー豆エキスおよび含有成分について,脂肪の分解に関与する膵リパーゼに対する阻害活性を,in vitroにおいて評価しました。実験の結果,生コーヒー豆エキス,クロロゲン酸およびカフェインに,緩和なリパーゼ阻害活性が認められました(図3)。

図3. 生コーヒー豆エキスおよび含有成分のリパーゼ阻害活性 (n=2)

【実験方法】

ブタ膵由来のリパーゼ(SIGMA社製,終濃度105.8 units/mL)およびリパーゼキット-S(大日本製薬)を用いて測定した。

脂肪蓄積阻害作用

① 3T3-L1脂肪細胞分化抑制作用(in vitro)

生コーヒー豆エキスおよび含有成分を,マウス脂肪細胞株(3T3-L1)培養系(図4)に添加し,分化誘導惹起後の脂肪蓄積へ及ぼす影響を検討しました。その結果,カフェインおよびクロロゲン酸に緩和な脂肪蓄積阻害(蓄積トリグリセリドの低下)および脂肪細胞分化の指標となるグリセロール3-リン酸デヒドロゲナーゼ活性(GPDH活性)の低下が認められました(図5)。なお,同濃度において細胞毒性は認められませんでした。

図5. 生コーヒー豆エキスおよび含有成分の3T3-L1脂肪細胞分化に及ぼす作用 (n=6-7,平均値±標準誤差)

【実験方法】

3T3-L1脂肪細胞(5×104 cells/mL)を,10%牛胎児血清を含むDMEM培地(高グルコース)で2日間培養後,インスリン(1 μg/mL),デキサメタゾン(0.25 μM)およびイソブチルメチルキサンチン(0.5 mM)を含む培地に交換して分化を誘導した。2日後に,サンプルおよびインスリン(1 μg/ml)を含む培地に交換し,1日おきに培地交換をしながら,計6日間培養した。培養終了後,細胞中のトリグリセリド濃度および脂肪細胞分化の指標となるグリセロール3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GPDH)活性を測定した。

② 通常食飼育マウスにおける体重増加および体脂肪蓄積抑制作用(in vivo)

マウスに対し,生コーヒー豆エキス(カフェイン:10.0%,クロロゲン酸:27.0%)および含有成分(カフェイン,クロロゲン酸を含有量に応じて配合)をそれぞれ混餌した飼料を,2週間自由摂取させ,体重や体脂肪に及ぼす影響を調べました。その結果,生コーヒー豆エキスに明らかな体重増加抑制作用が認められました(図6)。

図6. 生コーヒー豆エキスおよび含有成分の継続摂取時におけるマウス体重増加に及ぼす作用 (n=6-7)

また,カフェインやクロロゲン酸についても,弱いながら体重増加の抑制が認められました。一方,内臓脂肪の一つである副睾丸脂肪重量や腎周囲脂肪重量に対して,生コーヒー豆エキスは蓄積抑制作用を示しました(図7)。なお,飼育中の対照群と各サンプル投与群の摂餌量には,ほとんど差はみられませんでした。

図7. 生コーヒー豆エキスおよび含有成分の継続摂取時におけるマウス内臓脂肪に及ぼす作用
[n=7,平均値±標準誤差,有意差*:p<0.05(Dunnettの多重比較検定)]

【実験方法】

マウス(ddY,雄,6週齢)に,生コーヒー豆エキス(0.5および1%),カフェイン(0.05および0.1%)およびクロロゲン酸(0.15および0.3%)を混餌した飼料(CE-2, 日本クレア)を13日間自由摂取させた。この間,体重を2日ごとに測定した後,最終日に副睾丸脂肪および腎周囲脂肪重量を測定した。

既に述べた実験とは別に,同ロットのコーヒー生豆を焙煎(230℃,5分)して作製した焙煎コーヒー豆エキス(カフェイン:8.5%,クロロゲン酸:11.6%)について,前述の方法に従って体重の変化を調べました。その結果,図8に示すように,体重増加の抑制傾向はみられたものの,その作用は生コーヒー豆エキスと比較すると明らかに弱いものでした。

図8. 生コーヒー豆エキスおよび焙煎コーヒー豆エキスの継続摂取時におけるマウス体重増加に及ぼす作用 (n=6-7)

③ 脂肪肝抑制作用(in vivo)

生コーヒー豆エキス,クロロゲン酸およびカフェインを,マウスに継続(2週間)投与した時の肝脂質(トリグリセリド及び総コレステロール)に及ぼす影響を評価しました。その結果,生コーヒー豆エキスおよびクロロゲン酸は,肝トリグリセリドを低下させました(図9)。一方,総コレステロール値は対照群とほぼ同等でした。したがって,生コーヒー豆エキスには,中性脂肪蓄積による脂肪肝を抑制する作用があり,その作用にはクロロゲン酸の関与が示唆されました。

図9. 生コーヒー豆エキスおよび含有成分を継続投与した際のマウス肝脂質に及ぼす作用
[n=6,平均値±標準誤差,有意差**:p<0.01(Dunnettの多重比較検定)]

【実験方法】

マウス(ddY,雄,5週齢)を1週間予備飼育後,4群に分け,1日1回5 w/v%アラビアガムに懸濁したサンプルを2週間経口投与した。実験最終日に,非絶食下において肝臓の摘出を行い,肝臓トリグリセリド及び総コレステロール含量を和光純薬工業社製のキットを用いて測定した。

④ 高脂肪食飼育マウスにおける体重増加および脂肪蓄積抑制作用(in vivo)

生コーヒー豆エキスを高脂肪食に配合し,マウス(C57BL/6J)に継続摂取させ,体重や脂肪の変化を調べました。図10に示すように,生コーヒー豆エキス(0.5および1%)を混餌した高脂肪食を摂取したマウスの体重は,高脂肪食あるいは低脂肪食(高脂肪食と比較して)を摂取したマウスと比較して,明らかな増加抑制を示しました。この時,1%生コーヒー豆エキス混餌高脂肪食を摂取した群では,高脂肪食摂取群と比較して摂餌量の減少がみられましたが,0.5%生コーヒー豆エキス摂取群では,摂餌量の低下はみられませんでした(表1)。

図10. 生コーヒー豆エキスの高脂肪食継続摂取時のマウス体重増加に及ぼす作用(n=6)

表1. 高脂肪食摂取マウスの体重変化および総摂餌量

  初期体重 (g) 最終体重 (g) 体重増加量 (g) 総摂餌量 (g)
低脂肪食 20.6±0.2 24.1±0.7 3.5±0.6 95.3
高脂肪食(HF) 21.0±0.8 25.7±0.6 4.6±0.4 65.5
HF+エキス0.5% 23.6±0.5 25.6±0.3 2.0±0.7** 67.4
HF+エキス1.0% 21.3±0.2 23.3±0.2* 1.9±0.2** 57.9

[n=6,平均値±標準誤差,HF群との有意差*:p<0.05,**:p<0.01(Dunnettの多重比較検定)]

さらに,脂肪蓄積に関しては,生コーヒー豆エキス摂取群(0.5および1%)の副睾丸脂肪重量が,濃度依存的な低下を示しました。また,0.5%摂取群の体重換算した肝臓重量が有意な低下を示しました(表2)。

表2. 高脂肪食摂取マウスの副睾丸脂肪重量および肝臓重量

  副睾丸脂肪 肝臓
  (g) (mg/g体重) (g) (mg/g体重)
低脂肪食 0.30±0.04 12.6±1.5 1.22±0.04 50.7±1.0
高脂肪食(HF) 0.52±0.05 20.1±1.7 1.13±0.04 44.0±0.8
HF+エキス0.5% 0.36±0.07 14.1±2.6 0.95±0.07* 37.1±2.3**
HF+エキス1.0% 0.26±0.02** 11.3±0.8** 1.00±0.02 43.0±0.9

[n=6,平均値±標準誤差,HF群との有意差*:p<0.05,**:p<0.01(Dunnettの多重比較検定)]

これら副睾丸脂肪や肝臓切片の顕微鏡写真を図11および12に示しました。図11において,脂肪細胞の細胞膜が青く染色されており,細胞の大きさが比較できます。低脂肪食摂取マウスの鏡検像に対して,高脂肪食摂取マウスの細胞では,そのサイズが明らかに大きくなっていることが分かります。一方,生コーヒー豆エキス(0.5および1%)を配合した高脂肪食摂取マウスの脂肪細胞のサイズは,低脂肪食摂取マウスの大きさにまで,縮小していることが確認されました。

図11. 高脂肪食摂取マウスの副睾丸脂肪顕微鏡写真(トルイジンブルー染色,倍率:100倍)

図12の肝臓鏡検像では,低脂肪食摂取マウスと比較して,高脂肪食摂取マウスの肝細胞の細胞膜が不明瞭になっていることが分かります。これに対し,生コーヒー豆エキス(0.5および1%)摂取マウスの肝細胞では,細胞膜が明瞭になっており,細胞内に多量のグリコーゲン顆粒の蓄積が認められます。

図12. 高脂肪食摂取マウスの肝臓顕微鏡写真(ヘマトキシリン+エオジン染色,倍率:100倍)

【実験方法】

マウス(C57BL/6J,雄,7週齢)を4群に分け(各群6匹),2週間固形飼料(CE-2,日本クレア)を与えて予備飼育した後,実験に使用した(実験開始時9週齡)。第1群には低脂肪食(コーン油:5%,カゼイン:20%,セルロース:4%,ハーパーミネラルミックス:3.5%,ハーパービタミンミックス:1%,コーンスターチ:66.5%)を,第2〜4群には生コーヒー豆エキスをそれぞれ0,0.05および1%配合した高脂肪食(コーン油:20%,ラード:10%,ショ糖:13%,カゼイン:20%,セルロース:4%,ハーパーミネラルミックス:3.5%,ハーパービタミンミックス:1%,コーンスターチ:28.5%)を25日間摂取させ,体重および摂餌量を経日的に測定した。試験最終日に採血を行うとともに,肝臓および副睾丸脂肪重量を測定した。

⑤ 高脂肪食ラットの脂質パラメーターに及ぼす作用(in vivo)

長崎大学県立大学シーボルト校(看護栄養学部)の田中一成教授との共同研究により,生コーヒー豆エキスのラットの脂質パラメーターに及ぼす影響が明らかになりました。SDラット(雄性,4週齢)に,1%量の生コーヒー豆エキス,0.5%コレステロールおよび0.125%コール酸ナトリウムを含有するAIN-93G組成飼料を4週間自由摂取させ,各種パラメーターを測定しました。その結果,表3に示すように,体重や内臓脂肪の増加抑制がみられるとともに,肝臓や血中のトリグリセリドの低下が認められました。また同時に,脂肪酸合成酵素の活性低下がみられました。

表3. 高脂肪食飼育ラットにおける生コーヒー豆エキス摂取前後の各種パラメーターの変化

  Control エキス摂取群
<組織重量>
初期体重 (g) 143±2 142±3
最終体重(g) 386±10 303±14*
体重増加量(g) 244±9 161±12*
摂餌量(g) 22.7±0.5 21.5±1.0
食餌効率(g 増加体重/g 摂餌量) 0.40±0.01 0.28±0.02*
肝重量(g) 24.5±1.0 18.2±1.5*
(Liver/100 g 体重) 6.33±0.13 5.94±0.28
総脂肪量(g)    
腎周囲 6.78±0.87 2.00±0.34*
副睾丸周囲 5.01±0.54 2.53±0.28*
相対総脂肪量(g/100g 体重)    
腎周囲 1.74±0.20 0.65±0.09*
副睾丸周囲 1.28±0.11 0.82±0.06*
<肝脂質>    
トリグリセリド (mg/dL) 75.6±6.7 44.0±3.2*
リン脂質 (mg/dL) 27.7±0.5 31.3±1.0*
<血液指標>    
中性脂肪(mg/dL) 180.3±31.6 66.1±11.7*
リン脂質(mg/dL) 184±13 193±9
LPO(nmol/mL) 15.6±1.0 11.8±0.5*
SOD(%) 16.5±0.9 15.4±0.6
<脂質代謝酵素活性 (nmol/min/mg protein)>    
Fatty acid synthase 4.88±0.84 2.94±1.17*
Carnitine palmitoyltransferase 4.12±0.37 4.82±0.34
Malic enzyme 19.3±0.84 13.8±1.49*
Glucose-6-phosphate dehydrogenase 15.9±2.20 12.0±1.33
Phosphatidic acid phoshohydrolase(mic)    
Mg+ 4.34±0.20 5.56±0.42*
Mg- 2.94±0.23 3.06±0.13

平均値±標準偏差,n=6,*: p<0.05

Tanaka K., Nishizono S., Tamaru S., Kondo M., Shimoda H. Tanaka J., Okada T. Anti-obesity and hypotriglyceridemic properties of coffee bean extact in SD rats. Food Sci. Technol. Res. 15, 147-152 (2009).

脂肪分解促進作用

① 脂肪分解作用(in vitro)

カフェインには,脂肪細胞中のリパーゼを活性化し,中性脂肪の分解を促進する作用があることが知られています。そこで,生コーヒー豆エキスやその含有成分の脂肪分解作用を既存のダイエット素材と比較検討しました。その結果,生コーヒー豆エキス(1000 μg/mL)の脂肪分解作用は,単一化合物であるカプサイシンやシネフリンと同等であり,シネフリンを30%含有するシトラスエキスよりも強いことが判明しました(図13)。含有成分では,カフェインに脂肪分解作用がみられましたが,クロロゲン酸や焙煎コーヒーには脂肪分解作用は認められませんでした。その他の素材では,コレウスフォルスコリエキスに脂肪分解作用が確認されました。

図13. 生コーヒー豆エキスとその含有成分ならびに脂肪分解素材のラット副睾丸脂肪からのグリセロール遊離に及ぼす作用
(n=4,平均値±標準誤差)

実験結果より,生コーヒー豆エキスの脂肪分解成分はカフェインと考えられますが,カフェインと数種の成分からなる複合製剤が,外用で痩身作用を示したという報告*)があります。この結果より,生コーヒー豆エキスは,部分痩せやセルライト解消を訴求した化粧品にも配合していただけるものと考えております。

*)Tholon L, et al., An in vitro, ex vivo, and in vivo demonstration of the lipolytic effect of slimming liposomes: An unexpected α2-adrenergic antagonism. J. Cosmet. Sci. 53, 209-18 (2002).

【実験方法】

Wistar系雄性ラットから副睾丸脂肪を摘出し,Medium199 に溶解した各種サンプル中で,インキュベート(37℃,3時間)した。インキュベート終了後に脂肪を除去し,培地中のグリセロール量をF-キットグリセロール(日本ロシュ社製)を用いて測定した。

② 血中トリグリセリド低下作用(in vivo)

生コーヒー豆エキス,クロロゲン酸およびカフェインについて,絶食下のマウスに経口投与した際の,血中トリグリセリドに及ぼす影響を評価しました。その結果,生コーヒー豆エキスおよびカフェインに,カプサイシンと類似した強い血中トリグリセリドの降下作用がみられました。また,クロロゲン酸についても,シネフリンと同等の血中トリグリセリド降下作用がみられました(図14)。

図14. 生コーヒー豆エキスとその含有成分ならびに既存ダイエット素材のマウス血中トリグリセリドに及ぼす作用

【実験方法】

絶食(24時間)したマウス(ddy,雄,6週齢)の静脈から採血を行い,30分後に5 w/v%アラビアガムに懸濁した各種サンプル(10 mL/kg)を経口投与した。以後,1時間毎に経時的に採血を行って,血中トリグリセリドを測定した。

脂肪燃焼作用

① カフェインのマウス褐色脂肪細胞内脱共役タンパク(UCP)発現促進作用(in vivo, 引用)

褐色脂肪組織は,エネルギーを熱へと変換して発散することができる脂肪燃焼組織の一つです。熱産生は,褐色脂肪細胞ミトコンドリアの膜上で行われますが,熱変換の際に特殊な脱共役タンパク(UCP-1)が機能します。

生コーヒー豆エキスに含有されるカフェインに,糖尿病マウス褐色脂肪組織におけるUCP-1の発現促進作用が報告されています(図15)。この結果より,カフェインには,熱産生のかたちで脂肪を燃焼消費する働きがあると考えられます。

図15. カフェインのKKマウス褐色脂肪組織(BAT)におけるUCP-1発現促進作用

マウスに生理食塩水(□)またはカフェイン(60 mg/kg,■)を皮下投与し,4時間後に肩甲骨間褐色脂肪組織を採取した。UCP-1 mRNA発現レベルは,RT-PCRを用いて評価し,マーカーであるβ-アクチンとの比率で示した(n=15, 平均値±標準誤差, *: p<0.05)。
Ref. ) Kogure A., et al., Effects of caffeine on the uncoupling protein family in obese yellow KK mice. Clin. Exp. Pharmacol. Physiol. 29, 391-4 (2002) より

② ラット培養褐色脂肪細胞に及ぼす形態変化(in vitro)

市販のラット培養褐色脂肪細胞に,生コーヒー豆エキス(1000 μg/mL)を添加し,18時間培養後の形態変化を鏡検しました(図16)。細胞内油滴の明らかな矮小化が観察されました。

図16. 生コーヒー豆エキス共存下におけるラット褐色脂肪細胞の形態変化

【実験方法】

ラット褐色脂肪細胞培養キット(ホクドー社)を用いて評価を行った。すなわち,ラット副睾丸脂肪組織より得た褐色脂肪細胞前駆細胞に対して分化誘導を行った後,6日間培養した。細胞内に油滴が生成したのを確認した後,生コーヒー豆エキスを添加して18時間培養を行った。

③ 肝ミトコンドリア分画カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ(CPT)活性促進作用(in vivo)

脂肪組織から分解・遊離した脂肪酸の一部は,肝臓へと運ばれ,肝細胞のミトコンドリアにおいて,β-酸化を受けて代謝されます。ミトコンドリアに脂肪酸が運ばれる際,カルニチンや移送酵素であるカルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ(CPT)が機能しますが,これらはβ-酸化における律速段階になっています(図17)。生コーヒー豆エキスを配合した飼料をマウスに6日間摂取させた後,肝臓を摘出し,ミトコンドリア分画のCPT活性を測定したところ図18に示すように,用量依存的なCPT活性の促進が認められました。この結果より,生コーヒー豆エキスには脂肪燃焼を補助する作用があると考えられます。一方,含有成分のカフェインとクロロゲン酸には活性が認められませんでしたが,フェルロイルキナ酸に有意なCPT活性の促進がみられました。また,3-カフェオイルキナ酸にも活性化促進傾向がみられました。

【実験方法】

マウス(ddY,雄,7週齢)に,生コーヒー豆エキスまたはその含有成分を混餌した飼料(CE-2, 日本クレア)を6日間自由摂取させた。頚椎脱臼後に,肝臓を摘出し,肝重量に対して6倍量の0.25Mスクロースおよび1 mM EDTA含有トリス緩衝液(pH7.4)を加えてホモジネートし,遠心分離(3000回転, 10分)をおこなった。上清を再び遠心分離(11,000回転,10分)し,得られた沈澱(ミトコンドリア分画)に緩衝液(2.5 mL)を加えて懸濁した。蛋白定量後,CPT活性をDTNB法*) により測定した。
*) Markwell M. A. K., et al., The subcellular distribution of carnitine acyltransferases in mammalian liver and kidney. J. Biol. Chem., 248, 3426-32 (1973).

糖尿病予防作用

① 糖吸収遅延作用(in vivo)

生コーヒー豆エキスの糖質投与時の血糖値上昇に対する作用を,マウス糖質負荷モデルを用いて検討しました。その結果,図19に示すようにグルコース負荷時には400 mg/kgの投与で,スクロース負荷時には200 mg/kgの投与で生コーヒー豆エキスは,血糖値の上昇を抑制しました。

図19. 生コーヒー豆エキスのグルコース(左)およびスクロース(右)負荷時における血糖値に及ぼす作用
[n=6,平均値±標準誤差,有意差**:p<0.01(Dunnettの多重比較検定)]

【実験方法】

絶食(18時間)したマウス(ddY,雄,6週齢)から採血後,直ちに生コーヒー豆エキスの水溶液(10 mL/kg)を経口投与した。1時間後にグルコース(0.5 g/kg)又は,スクロース(2 g/kg)を経口投与(5 mL/kg)し,その後0.5,1および2時間目において採血を行った。得られた血液から血清を分離し,グルコース濃度を酵素法(デタミナーGL-E,協和メディックス社製)により測定した。

② α-グルコシダーゼ阻害活性(in vitro)

生コーヒー豆エキスの糖質分解酵素に対する阻害活性を調べました。α-アミラーゼに対する阻害活性はみられませんでしたが(データ未掲載),α-グルコシダーゼに対する比較的強い阻害活性が認められました(図20,表4)。また含有成分では,クロロゲン酸とカフェ酸に阻害活性が認められました。

図20. 生コーヒー豆エキスおよび含有成分のα-グルコシダーゼ阻害活性

表4. 生コーヒー豆エキスおよび含有成分のα-グルコシダーゼ阻害活性(IC50

  IC50 (μg/mL)
生コーヒー豆エキス 70
カフェイン >1000
クロロゲン酸 100
カフェ酸 100
キナ酸 >1000

【実験方法】

ラット小腸アセトン粉末(Sigma社)に約10倍量の0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)を加え,遠心分離した上清を酵素液とした。基質には0.2 mM 4-メチルウンベルフェリル-α-D-グルコピラノシド(Sigma社)を用いた。各サンプルはDMSOに溶解後,4%DMSO含有リン酸緩衝液で2倍希釈系列を調製した。マイクロプレートにサンプル希釈液(50 μL/well)および基質緩衝液(25 μL/well)を添加して,予備加温(37℃,10分間)後,酵素液(25 μl/well)を添加し,37℃で30分間反応させた(酵素終濃度:1 mg protein/mL, 基質終濃度:0.05 mM)。0.2 M Na2CO3 (100 μl/well)を添加して反応を停止させ,マイクロプレートリーダーを用いて蛍光強度(励起波長366 nm,測定波長450 nm)を測定した。

③ 糖新生抑制作用(in vitro, 引用)

生コーヒー豆エキスに含有されるクロロゲン酸には,肝臓に存在するグルコース合成酵素グルコース6-フォスファターゼに対する競合阻害作用が報告されています(図21)。糖尿病においては,本酵素の活性が高く肝臓における糖新生が亢進しており,高血糖の原因になっています。また糖新生は,ダイエット時における糖質の摂取制限によっても亢進し,脂肪燃焼の場の一つである筋肉を減少させることから,太りやすい体質になるだけでなく,ダイエット後のリバウンが懸念される生理現象です。クロロゲン酸には,糖尿病や糖質摂取制限によって惹起される過度の糖新生を抑制する作用が期待できます。

図21. クロロゲン酸(CHL)のグルコース6-フォスファターゼに対する阻害プロット(Lineweaver-Burk プロット)

外側グラフ縦軸は酵素活性を,横軸は基質(Glucose-6-P)濃度(1-10 mM)を示す。それぞれのプロット(CHL濃度を0-0.8 mMまで変化させて測定)がY軸上に収束する事から,クロロゲン酸がグルコース6-フォスファターゼに対して競合阻害を示す事が分かる。また,内側グラフ縦軸は,プロットの傾き(Slope)またはY切片(Intercept)を,横軸はクロロゲン酸濃度を示す。Y切片が一定で,傾きが直線的に変化していることが,競合阻害であることを示している。
Ref.) Arion W.J., et al. Chlorogenic acid and hydroxynitrobenzaldehyde:new inhibitors of hepatic glucose 6-phosphatase. Arch. Biochem. Biophys. 339, 315-22 (1997). より

抗酸化作用

SOD様活性およびDPPHラジカル消去能

ストレスなどの刺激で生体内に発生する活性酸素は,種々の生活習慣病と密接に関連しています。また,酸化型LDL-コレステロールの動脈内壁への集積は,動脈硬化の原因になります。そこで,クロロゲン酸など強い抗酸化活性を有する生コーヒー豆エキスについて,スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)様活性及び1,1-ジフェニル2-ピクリルヒドラジル(DPPH)ラジカル消去能を評価しました。その結果,生コーヒー豆エキスは図22に示す濃度において,SOD様活性及びDPPHラジカル消去活性を示しました。

①SOD様活性< ②DPPHラジカル消去能

図22. 生コーヒー豆エキスの抗酸化活性

【実験方法】

SOD様活性は,SODテストキットワコー(和光純薬工業社)を用いて測定を行った。DPPHラジカル消去能は,エキスをDPPH溶液に溶解し,DPPHの退色を吸光度の変化で測定した。

ヒト試験

生コーヒー豆エキスのヒトにおけるダイエット機能を評価するため,弊社男性健常人を対象として,体重,体脂肪および血中成分を指標とした4週間の継続摂取試験を行いました。

【試験材料】

試験にはクロロゲン酸,総クロロゲン酸およびカフェインを,それぞれ28.4,48.7および12.5%含有する生コーヒー豆エキス(Lot. K320, 100 mg)をハードカプセルに充填したもの(エキスカプセル)を被験者に摂取させた。

【被験者】

社内男性ボランティア [6名, 23~59才(平均年齢:39.5才)] を対象とした。

【試験方法】

試験初日に,朝食非摂取時の被験者から採血を行うと同時に,体重,体脂肪率,身長,インピーダンス,脂肪量,ウェストおよびヒップ周囲長,腹部皮下脂肪厚みの測定を行った。BMI(肥満:25%以上,標準体型:18以上25%未満,やせ形体型:18%未満)および肥満度(肥満:20%以上)は,それぞれ下式を用いて算出した。

BMI (kg/m2) = 体重 (kg) / 身長 (m) / 身長 (m)
肥満度 (%) = [(体重-標準体重) / 標準体重] × 100

被験者にはエキスカプセル2個(生コーヒー豆エキス200 mgに相当)を,毎日4週間にわたって自由摂取させた。試験終了日において,試験初日と同様の測定を行い。エキスカプセル摂取前後の測定値を比較した。有意差検定には,対応のある2群間のt-検定を用い,p<0.15をもって有意とした。

【結果および考察】

表5に示すように生コーヒー豆エキス(200 mg/日)の4週間摂取により,体重,体脂肪率,インピーダンス,脂肪量,肥満度,ウェストおよび腹部皮下脂肪厚みが,摂取前と比較して低値傾向を示しました。また,ヒップ長については有意(p=0.12)な減少がみられました。各被験者の測定値を,図23に示しますが,体重,肥満度,ヒップおよび腹部皮下脂肪厚みについて,6名中4名に減少が確認され,体脂肪率,BMI,インピーダンス,脂肪量およびウェストについては,6名中3名に減少がみられました。

一方,血液成分の平均値(表5)において,摂取後のトリグリセリドおよび遊離脂肪酸が,摂取前と比較して低値を示しました。特に,トリグリセリドについては,摂取前に高値(292 mg/dL)を示していた被験者1名の測定値が,摂取後に顕著に低下(205 mg/dL)しました(図24)。さらに血糖値については,6名中4名に,正常値範囲内での低下がみられ,摂取前後で有意差(p=0.13)が認められました。これに対し,コレステロール値およびクレアチニン値は,それぞれ6名中3名および5名に軽微な上昇が認められ,摂取前後の比較では有意差(それぞれp=0.13,0.05)が認められました。

以上の結果より,生コーヒー豆エキスの4週間摂取により,軽微ではありますが,体重や体脂肪,血中トリグリセリドが低下することが明らかになりました。血糖値,トリグリセリドおよび遊離脂肪酸の低下は,それぞれ生コーヒー豆エキスの機能である糖新生の抑制(クロロゲン酸)や脂肪分解(カフェイン)・代謝(カフェインおよび未知成分)亢進に基づく作用であることを示唆するものです。一方クレアチニンは,筋肉量の増加によっても上昇しますが,筋肉量変化の指標となるインピーダンス値が,生コーヒー豆エキス(200 mg/日)摂取により減少(482→475Ω)していることから,生コーヒー豆エキスは筋肉量を増加させる作用を有する可能性も示唆されます。

表5. 生コーヒー豆エキス(200 mg/日)4週間摂取前後の検査値比較

  摂取前 摂取後
体重(kg 64.2±5.6 64.1±4.8
体脂肪率(%) 19.7±3.0 19.4±4.2
BMI(kg/m2 22.4±2.4 22.5±2.3
インピーダンス(Ω) 482±64 475±46
脂肪量 (%) 12.7±2.6 12.5±3.2
肥満度 (%) 2.4±11.2 2.2±10.2
ウェスト(cm) 77.8±6.7 77.0±7.3
ヒップ(cm) 93.4±5.7 91.2±4.2 p=0.12
ウェスト/ヒップ比 0.83±0.04 0.84±0.05
腹部皮下脂肪厚み(mm) 15.9±5.1 12.4±5.7
     
血糖値(mg/dL) 89.7±9.0 85.0±10.6 p=0.13
コレステロール(mg/dL) 190.5±15.8 198.0±20.7 p=0.15
トリグリセリド(mg/dL) 108.7±94.5 98.7±63.9
遊離脂肪酸(mEq/L) 0.34±0.11 0.26±0.11
クレアチニン(mg/dL) 0.95±0.15 1.07±0.10 p=0.05
総タンパク(g/dL) 7.13±0.16 7.18±0.34

各値は6名の平均値と標準偏差で示した。

図23. 生コーヒー豆エキス(200 mg/日)4週間摂取前後の被験者の検査値比較

図24. 生コーヒー豆エキス(200 mg/日)4週間摂取前後の血液検査値比較