製品案内 Product

フコキサンチン Product name

効果・効能 Positie Effect

  • ページTOPへ戻る

原料情報へ戻る

抗メタボリックシンドローム作用

世界の主要6ヵ国において、8,600万人近くのメタボリックシンドローム患者がいると予測されています。近年、食の欧米化や不規則な食生活、便利な生活がもたらす運動不足などにより日本でも肥満者が増加しています。厚生労働省の試算では、メタボリックシンドロームとその予備群に該当する中高年(40~70歳)は、約1,900万人で、同年齢層の男性では2人に1人、女性では5人に1人に達します。また、これまで生活習慣病として扱ってきた肥満症、高血圧、高脂血症、糖尿病は独立した疾患ではなく、それらの原因として内臓脂肪の蓄積を考慮する必要性が出てきました。内臓脂肪の蓄積は血中遊離脂肪酸の増加を招き、高脂血症、インスリン抵抗性を惹起します。さらに、内臓脂肪細胞からさまざまな生理活性物質、すなわち、アディポサイトカインが分泌されていますが、内臓脂肪の過剰な蓄積によってその分泌バランスが崩壊し、メタボリックシンドロームが引き起こされることが判っています。

ヒトの脂肪組織には白色脂肪組織と褐色脂肪組織が存在し、それぞれ異なった機能を有します。白色脂肪組織は過剰に摂取したカロリーを脂質として貯め込みます。この白色脂肪組織が増加した状態が肥満です。一方、褐色脂肪組織は脂肪を分解し、熱を産生することで体温を保持するとともに余分なカロリーを消費する組織です。この作用は褐色脂肪組織のミトコンドリア内膜に特異的に存在する脱共役タンパク1(UCP1)によるものです。UCP1の発現には様々な生体因子が関わっていますが、食品成分としてのカプサイシン、カプシエイト、カフェインなどはノルアドレナリンの分泌の増大を、また、EPAやDHAはPPARγのリガンドとなることによりUCP1の発現を増大させます。しかし、ヒトの場合、褐色脂肪組織の存在量は特に年齢とともに少なくなり、褐色脂肪組織の増加が必ずしもヒトの肥満予防に寄与するとは限りません。よって、UCP1が白色細胞組織中でも発現し、これにより白色脂肪の酸化およびエネルギーの熱への変換を促すことにより、白色脂肪細胞を減少させることが期待されています。

1) 脂肪細胞(分化3T3-L1)に対する作用(in vitro)

3T3-L1細胞は抗肥満作用を有する機能性成分のスクリーニングに多用される細胞株です。特定の条件下で培養することにより、脂肪細胞に分化し、細胞内に油滴が蓄積します。北海道大学大学院水産科学研究院の宮下教授らは、この細胞株にフコキサンチン純品をそれぞれ10および25μMになるように添加し、脂肪の蓄積量をオイルレッド法により評価したところ、フコキサンチンが有意に脂肪蓄積を抑制することを見出しました(図1)。

図1. フコキサンチンの3T3-L1脂肪細胞における脂肪蓄積抑制作用 *:P<0.01

参考文献:

Maeda H, Hosokawa M, Sashima T, Takahashi N, Kawada T, Miyashita K. Fucoxanthin and its metabolite, fucoxanthinol, suppress adipocyte differentiation in 3T3-L1 cells. Int J Mol Med. 18(1): 147-52 (2006).

抗肥満作用(in vivo)

フコキサンチンの抗肥満作用について、宮下教授らがさらに詳細な報告をしています。フコキサンチン分画(フコキサンチン含量67.4%)を、KKAy肥満マウスに4週間混餌(0.4%)投与し、内臓脂肪重量を測定しました。その結果、フコキサンチン分画投与群は、コントロール群と比較して、有意な脂肪重量減少が認められましたが、糖脂質分画投与群では脂肪重量減少作用は認められませんでした(図2)。内臓脂肪中のUCP1の発現をウェスタンブロットにより調べた結果、顕著な発現上昇が確認されました。図3Aにはウェスタンブロットにおいてコントロールおよび糖脂質分画投与群のマウスの内臓脂肪中にUCP1のバンドがみられませんでした。一方、フコキサンチン分画投与群では、顕著なUCP1バンドの発現が認められました。β-Actinは恒常的に発現しているので、各群で同程度の発現量であることが前提です。UCP1の発現率は、β-Actinで補正してから算出しました。

  • 図2. フコキサンチン分画のKKAy肥満マウスの内臓脂肪
    蓄積抑制作用 *:P<0.01
  • 図3. フコキサンチン分画のKKAy肥満マウス内臓脂肪
    でのUCP1発現作用 **:P<0.05

フコキサンチンは、白色脂肪組織中のUCP1を発現させる唯一の食品成分として、世界中の注目を集めていることから、メタボリックシンドローム対応食品への応用に大きな期待が持たれます。

参考文献:

Maeda H, Hosokawa M, Sashima T, Funayama K, Miyashita K. Fucoxanthin from edible seaweed, Undaria pinnatifida, shows antiobesity effect through UCP1 expression in white adipose tissues. Biochem Biophys Res Commun. 332(2): 392-7 (2005).

抗糖尿病作用(in vivo)

自然発症糖尿病肥満モデルのKKAyマウスは、高血糖、肥満、高インスリン血症および高レプチン血症を示すことが特徴です。宮下教授らは、このマウスを用いてフコキサンチンの抗糖尿病作用を見出しています。フコキサンチン(純度:97%)を、KKAyマウスに4週間混餌(0.1および0.2%)投与し、血糖値、血中インスリンおよびレプチン濃度を測定しました。その結果、フコキサンチン投与群は、コントロール群と比較して、有意な血糖値、血中インスリンおよびレプチン濃度低下を示しました(図4)。特に、レプチンは脂肪組織から分泌されることから、フコキサンチンの血中レプチン濃度低下作用は白色脂肪の減少作用によるものと考えられます。以上の結果より、フコキサンチンは、内臓脂肪の蓄積(肥満)に伴う、高血糖の改善に効果が期待されます。

図4. フコキサンチンのKKAyマウスにおける血糖値、高インスリン血症および高レプチン血症に対する改善作用 FC:フコキサンチン Fish oil:魚油 異なるアルファベット間で有意差がある(P<0.01) 

参考文献:

Maeda H, Hosokawa M, Sashima T, Miyashita K. Dietary combination of fucoxanthin and fish oil attenuates the weight gain of white adipose tissue and decreases blood glucose in obese/diabetic KK-Ay mice. J Agric Food Chem. 55(19): 7701-6 (2007).

美容・美白作用

1) コラゲナーゼ阻害作用

コラーゲンは、皮膚では真皮の90%を占める成分で、真皮全体に分布し、皮膚に適度な弾性および強度を与えています。コラゲナーゼが活性化して、コラーゲンが分解されると、皮膚の老化現象であるシワやたるみが起こります。コンブ抽出物(フコキサンチン含量:8.6%)は、30~1000μg/mLの濃度範囲において濃度依存的にコラゲナーゼ活性を阻害し、コラーゲンの分解を抑制することが明らかになりました(図5)。

図5コンブ抽出物(フコキサンチン含量:8.6%)のコラゲナーゼ阻害作用

【実験方法】

コンブ抽出物を10%DMSOに溶解した。このサンプル0.05 mLにコラゲナーゼ酵素溶液0.05 mL及びPZ-ペプチドの基質溶液0.04 mLを加え、37℃で30分間反応させた後、25 mMクエン酸溶液1 mL を加えて反応を停止させた。酢酸エチル5 mL を加えて抽出し、PZ-ペプチドがコラゲナーゼにより切断される量を酢酸エチル層の吸光度で測定した。

2) 正常ヒト線維芽細胞のコラーゲン産生促進作用

皮膚を美しい状態に保つためには、コラーゲンが必要です。コラーゲンの産生は、20歳をすぎると衰えてきます。新しくコラーゲンの産生を促進し、コラーゲンが供給されれば、美しい素肌を保つことも可能でしょう。ヒト健常人女性真皮由来正常線維芽細胞を用いた実験で、コンブ抽出物(フコキサンチン含量8.6%)は、正常ヒト線維芽細胞(コラーゲン産生能力の衰える年齢に相当する細胞)においてコラーゲン産生促進作用を示すことが確認されました(図6)。

図6. コンブ抽出物(フコキサンチン含量:8.6%)のコラーゲン産生促進作用

【実験方法】

36才白人女性由来のヒト皮膚線維芽細胞 (facial dermis) を5×104個/mLとなるように培地で調製し、0.1mLずつ48Well Plateに播種した。培地を0.2mLずつ加えて、1日培養後、培地を取り除き、Ultra DOMA-PF Liquid (無タンパク質培地) を0.38mLずつ分注し、コンブ抽出物溶液を20μL加え、3日間培養した。その後、上清中のコラーゲン量をProcollagen typeⅠC-peptide (PIP) EIA Kitを用いて測定した。

3)ヒアルロニダーゼ阻害作用

ヒアルロン酸は、皮膚、関節液、硝子体、靱帯などの生体に広く分布しています。ヒアルロン酸は、皮膚において、細胞の接着、細胞の保護、皮膚組織の形成、組織の水分保持、柔軟性の維持などを担っています。ヒアルロン酸が減少すると皮膚の潤い、ハリがなくなり、シミやたるみの原因となります。生体内で生成されたヒアルロン酸は、ヒアルロニダーゼにより分解されます。コンブ抽出物(フコキサンチン含量:8.6%)は、30~1000μg/mLの濃度範囲において濃度依存的にヒアルロニダーゼ活性を阻害し、ヒアルロン酸の分解を抑制することがわかりました(図7)。

【実験方法】

コンブ抽出物を10%DMSOに溶解し、ヒアルロン酸およびヒアルロニダーゼ反応系に作用させた。次に、P-ジメチルアミノベンズアルデヒドと反応させ、吸光度を測定した。

図7. コンブ抽出物(フコキサンチン含量:8.6%)のヒアルロニダーゼ阻害作用

4)エラスターゼ阻害作用

エラスチンは、コラーゲンと同様に皮膚を構成する主要タンパク質で、皮膚などの伸展性に富んだ組織に多く見られます。皮膚の弾力性に関与しており、エラスターゼが分解されると皮膚の弾力性がなくなり、皮膚にシワやたるみが生じます。生体内で生成されたエラスチンは、エラスターゼにより分解されます。コンブ抽出物(フコキサンチン含量8.6%)は、10~300μg/mLの濃度範囲において濃度依存的にエラスターゼ活性を阻害し、エラスチンの分解を抑制する可能性が示唆されました(図8)。

図8. コンブ抽出物(フコキサンチン含量:8.6%)のエラスターゼ阻害作用

【実験方法】

コンブ抽出物を10%DMSOに溶解し、Enz Chek Elastase Assay Kit (Molecular Probes)を用いてエラスターゼ酵素活性阻害率を測定した。

5)チロシナーゼ阻害作用

肌のくすみや色黒、シミは、メラニンが原因です。メラニンは生体内でチロシナーゼの働きでチロシンからドーパキノンを生成し、その後、酸化反応などが進行してメラニンを生成します。

コンブ抽出物(フコキサンチン含量:8.6%)は、10~1000μg/mLの濃度範囲において濃度依存的なチロシナーゼ阻害作用を示しました。また、コンブ抽出物より精製した純品のフコキサンチンも1~30μg/mLの濃度範囲において、濃度依存的にチロシナーゼの働きを阻害することが、明らかとなりました(図9)。

  • フコキサンチン純品
  • コンブ抽出物(フコキサンチン含量:8.6%)

図9. コンブ抽出物(フコキサンチン濃度:8.6%)およびフコキサンチン純品
のチロシナーゼ阻害作用。

【実験方法】

各種濃度のサンプル溶液(70μL/well)に、0.3% L-DOPA(70μL/well)を添加し、予備加温(37℃、5 分間)後、チロシナーゼ(mushroom 由来,1.6 units/mL)溶液(70μL/well)を添加し、37℃で5 分間反応させた。反応終了後、マイクロプレートリーダを用いて吸光度(492nm)を測定した。

6)B16メラノーマにおけるメラニン産生抑制作用

美白効果を測定するために、マウスのB16メラノーマ細胞を用いてメラニンの生成抑制効果を検討しました。

  • フコキサンチン純品
  • コンブ抽出物(フコキサンチン濃度5.9%)

図10.コンブ抽出物(フコキサンチン濃度:5.9%)およびフコキサンチン純品のBIDメラノーマにおけるメラニン生成制御作用

コンブ抽出物(フコキサンチン濃度:5.9%)は、3~100μg/mLにおいて濃度依存的なメラニン生成抑制作用を示しました(図10)。また、純品フコキサンチンも1~30μg/mLの濃度範囲でメラニン生成抑制作用を示しました。以上の結果から、フコキサンチンは細胞レベルでもメラニン生成を抑制することが明らかになりました。

【実験方法】

B16メラノーマ細胞を2mMテオフィリン含有MEM培地(10%FCS、ペニシリン/ストレプトマイシン含有)にサスペンド(1.8×105 cells/mL)し、24穴プレートに500μLずつ播種した。サンプル溶液(55μL)を添加して3日間培養後、培地を除去し、PBS(300μL)を加えて、細胞を超音波破砕した。破砕液を96穴プレートに回収し、吸光度(測定波長:415nm・参照波長:700nm)を測定した。メラニン生成抑制率は(サンプルの吸光度/コントロールの吸光度×100)とした。

7)色素沈着抑制作用(in vivo)

フコキサンチン-P1(フコキサンチン:1%)を褐色モルモットに自由摂取させ,紫外線照射による皮膚の黒色化(色素沈着)への影響を検討しました。その結果,フコキサンチン-P1摂取群のL*値(明度,値が低い程黒色に近くなる)は,紫外線照射最終日から12日目にかけて,control群と比較して高値を保ちつつ(色が白い)低下しました。さらに15日目においては,L*値の有意な上昇が認められました(図 11)。これらの結果から,フコキサンチン-P1には,色素沈着を抑制するとともに,沈着した色素をより早く消失させる作用があることが明らかになりました。

図11. フコキサンチン-P1の色素沈着に対する改善作用(n=4)

図12. 紫外線照射開始16日目の照射部位(左:Control、右:フコキサンチン-P1)

【実験方法】

紫外線照射7日前(-10日目)から,1%フコキサンチンP1含有飼料をモルモット(Weiser-Maples 褐色モルモット,雄,4週齢)に自由摂取させた。その後,紫外線照射機(ソーラーシュミレーター,ウシオ電機株式会社製)を用いて,紫外線(UV-B,2000 mJ/cm2)を3日間(-2~0日目)照射した。フコキサンチンP1含有飼料は,照射期間中および照射終了後16日間(0~16日目)まで摂取を継続させた。照射前と照射開始後4,6,8,10,13および15日目に分光色差計(日本電色工業株式会社製)を用いて,明度(L*値)を測定した。

8)マウスにおけるメラニン生成抑制作用およびその作用機序(in vivo)

へアレスマウスを用いて,経口投与において,紫外線照射による皮膚色素沈着に及ぼす影響を,皮膚組織顕微鏡検査およびRT-PCRによりメラニン合成関連因子のendothelin 1(ET-1),neurotrophin-3(NT-3),endotherin A receptor (EDNRA),neurotrophin-3 receptor(NT3R),p75 neurotrophin receptor(p75NTR),prostaglandin E receptor 1(EP1), melanocortin receptor 1(MC1R),tyrosinase(Tyr),tyrosinase related protein 1(Tyrp1)および炎症関連因子のcyclooxygenase (COX)-2のmRNAの発現量測定で調べました。

その結果,以下に示すように,フコキサンチン経口投与により,紫外線照射によるメラニン生成が抑制されました。その作用機序として,メラニン生成に関与するチロシナーゼ関連タンパクの発現抑制,フェオメラニンからユーメラニンの変換に関与するmelanocortin receptor 1の発現抑制が関与しているものと考えられます。さらに,COX-2の発現抑制も見られたことから,抗炎症作用を有する可能性も示唆されました。

①皮膚色素沈着に及ぼす作用

図13の顕微鏡写真に示すように,経口投与において,紫外線照射によりControl 群のヘアレスマウス皮膚のメラノサイト内にメラニンが多く蓄積されましたが,フコキサンチン(0.1,1,10 mg/kg)経口投与により,メラノサイト内にメラニンの蓄積が明らかに抑制されました。

図13. フコキサンチン経口投与によるヘアレスマウス皮膚におけるメラニン生成抑制作用(フォンタナ・マッソン染色)

②メラニン合成関連因子および炎症関連因子mRNAの変化

経口投与において,Control 群と比較して,フコキサンチン10 mg/kg投与群は,COX-2, p75NTR,EP1およびMC1RのmRNA発現を有意に抑制しました(表1)。

表1. 紫外線照射部位の皮膚メラニン合成関連因子および炎症関連因子mRNAの変化(経口)

  Ct of control Control Fucoxanthin(mg/kg)
0.1 1 10
Released cytokine from epidermal cell
ET-1 27.3 1.00±0.01 1.23±0.10* 1.40±0.13** 1.27±0.16*
NT-3 29.3 1.00±0.02 0.90±0.05 0.82±0.06 0.86±0.01
COX-2 27.9 1.00±0.01 0.86±0.16 0.89±0.11 0.74±0.09*
Receptor in melanocyte
EDNRA 25.5 1.00±0.01 0.96±0.04 1.09±0.05 0.96±0.06
NT3R 28.8 1.00±0.02 1.01±0.16 1.24±0.11* 0.96±0.10
p75NTR 28.9 1.00±0.04 0.84±0.18 0.87±0.06 0.69±0.07**
EP1 28.2 1.00±0.01 1.05±0.08 0.89±0.07 0.80±0.09*
MC1R 25.5 1.00±0.01 0.94±0.17 0.87±0.08 0.76±0.06*
Melanogenesis in melanocyte
Tyr 27.1 1.00±0.03 0.99±0.16 1.04±0.14 0.96±0.09
Tyrp1 28.0 1.00±0.03 0.95±0.20 1.01±0.19 0.69±0.16

【実験方法】

へアレスマウス(Hos; HRM2, ♂,5週齢)を12日間予備飼育してから使用した。マウスにフコキサンチンを0.1,1,10 mg/kgの投与量で経口投与2時間後,マウスの背部正中線上,中程の皮膚に,ソーラーシュミレータを用いてUVB(160 mJ/cm2)を照射した。この操作を7日間繰り返し,8~15日目においてはUVBを320 mJ/cm2にあげて照射した。16日目に,照射部位の皮膚を摘出し,顕微鏡検査用標本を作製するとともに,RNeasyTM Protect Mini Kit を用いてRNAを抽出し,RT-PCRによりメラニン合成関連因子のendothelin 1(ET-1),neurotrophin-3(NT-3),endotherin A receptor (EDNRA),neurotrophin-3 receptor(NT3R),p75 neurotrophin receptor(p75NTR),prostaglandin E receptor 1(EP1), melanocortin receptor 1(MC1R),tyrosinase(Tyr),tyrosinase related protein 1(Tyrp1)および炎症関連因子のCOX-2のmRNAの発現を調べた。

抗ニキビ作用

ニキビの発症+悪化には,皮膚毛包内の常在菌であるアクネ菌P. acnes の増殖が密接に関与しているとされています。アクネ菌は,皮脂を栄養源として増殖します。増殖したアクネ菌が産生するリパーゼは,皮脂中のトリグリセリドを分解して脂肪酸を遊離させ,白血球の真皮への遊走,浸潤,炎症因子の放出という一連の炎症反応を引き起こします。炎症因子は皮膚を刺激し,炎症のみならず,表皮の角化も進行させます。これらが,ニキビの発症+悪化のメカニズムです。

図14. コンブ抽出物のアクネ菌由来のリパーゼに対する阻害作用

コンブ抽出物(フコキサンチン濃度:3.9%)は、10~300μg/mLの濃度範囲において濃度依存的にアクネ菌由来のリパーゼ活性を阻害しました。この結果より、抗ニキビ作用がある可能性が示唆されました(図14)。

【実験方法】

P. acnes をGAM 液体培地で培養後、遠心分離(3000 rpm,10 min)をして菌体を回収した。回収した菌体にPBS を加えて、超音波破砕し、再び遠心分離後に、上清を回収した。上清をPBS で3日間透析(4℃)後、凍結乾燥により、P. acnes 由来の粗リパーゼを得た。リパーゼ阻害活性は、リパーゼキットS(大日本製薬)を用いて測定した。すなわち、試験管に発色液(390μL)、各濃度のコンブ抽出物溶液(25μL)、P. acnes由来粗リパーゼ(50 mg/mL)2μL、エステラーゼ阻害剤(10μL)を加え、30℃の恒温槽で5 分間予備加温した。その後、基質液(50μL)を加え、遮光しながら30℃で30分反応させた。反応停止液(500μL)を加えた後、415 nm の吸光度を測定した。

ヒト臨床試験

フコキサンチン-P1を継続摂取した際の各種血中メタボリックシンドロームおよび美容に関するパラメーターに及ぼす作用を調べました。社内男女ボランティア12名に対し,フコキサンチン-P1(50mg/カプセル/日、フコキサンチン0.5 mgに相当)を14 日間自由摂取させ,摂取前後のメタボリックシンドローム指標(男性のみ)および血中パラメーターを比較しました。同試験の女性(6人)に対して、カプセル摂取前後に皮膚水分量(保湿性)、肌pH、肌の皮脂量の測定を行ないました。

検査方法:
肌の保湿性;CORNEOMETER SM825(CK electronic GmbH)、肌のPH;SKIN-pH-METERPH900(CK electronic GmbH)、肌の皮脂量;SEBUMETER SM810(CKelectronic GmbH)について測定した。皮膚弾力はModulus face care sensorを用いて測定した

検査部位:
顔、上腕内側部

検査条件:
温度24度、湿度60%

1)メタボリックシンドローム指標に及ぼす作用

摂取前後のメタボリックシンドローム指標を、男性で比較しました。その結果、腹部皮下脂肪厚みの顕著な減少(P<0.05)および体重,ウェストの軽微な減少が認められました(表2、図15)。また,血液検査において,正常範囲内で血中中性脂肪の減少(摂取前178.8±144.8,摂取後103.6±32.9)およびHDLコレステロールの増加(摂取前63.6±12.2,摂取後68.6±6.5)が認められました(表3、図16)。フコキサンチンには,抗メタボリックシンドローム作用を有することが示唆されました。

表2. フコキサンチンのメタボリックシンドローム指標に及ぼす作用

  摂取前 摂取後
体重(kg) 71.8±8.3 71.4±7.8
体脂肪率(%) 23.6±4.0 23.7±4.4
BMI(kg/m2 25.1±2.3 25.1±2.3
インピーダンス(Ω) 460.0±77.7 459.8±61.4
脂肪量(kg) 17.0±3.8 17.1±4.6
肥満度 (%) 14.0±10.7 13.9±10.5
ウェスト(cm) 87.2±6.7 85.9±7.1
ヒップ(cm) 95.8±6.8 97.6±3.7
ウェスト/ヒップ比 0.9 ±0.1 0.88±0.1
腹部皮下脂肪厚み(mm) 23.8±3.5 20.5±2.9P<0.05

図15. メタボリックシンドローム指標に及ぼす作用

表3. 血中メタボリックシンドローム関連パラメーターの変動

  摂取前 摂取後
HDL-コレステロール 63.6±12.2 68.6±6.5
中性脂肪(TG) 178.8±144.8 103.6±32.9
総コレステロール 203.2±17.5 202.0±27.4
LDL-コレステロール 114.6±20.9 120.2±28.4
遊離脂肪酸 0.4±0.3 0.5±0.3
尿素窒素 17.08±5.3 16.1±2.4
クレアチニン 1.0±0.2 1.0±0.1
尿酸 8.3±2.2 7.9±2.1
ケトン体定量 26.4±12.7 36.0±36.4
グルコース 101.4±19.3 96.4±8.6

図16. フコキサンチンのメタボリックシンドローム関連血中パラメーターに及ぼす作用

2) 美容効果

摂取前後の美容効果を女性で、比較しました。その結果、保湿性は認められませんでしたが,皮膚pHの改善および皮脂量に対する改善効果が認められました。また,皮膚弾力について,6名の被験者中4名において弾力値の上昇が認められました(図17)。フコキサンチンは美肌作用を有することが示唆されました。

図17. フコキサンチンの皮膚に対する改善作用

骨保護作用

加齢と共に,骨密度が減少していきます。それは骨の新陳代謝のバランスがくずれ,骨を減らす破骨細胞が活性化し,骨吸収がどんどん進んで骨形成が追いつかなくなる状況で,骨粗鬆症や関節炎などの疾患にかかりやすくなります。

神戸大学大学院農学研究科金沢教授らはフコキサンチンの破骨細胞分化因子(receptor activator of nuclear factor κB ligand, RANKL)によるマクロファージ細胞から破骨細胞への分化抑制作用および分化した破骨細胞のアポトーシスを誘導する作用を報告しています。マウスマクロファージ細胞のRAW246.7細胞をRANKL処理により破骨細胞に分化します。フコキサンチンを2.5μMおよび5μMの濃度に添加すると,RAW246.7細胞の破骨細胞への分化を濃度依存的に抑制しました(図18A)。また,RAW246.7細胞を破骨細胞に分化させてから,フコキサンチンを添加し培養した結果,分化した破骨細胞に対して,濃度依存的に破骨細胞の増殖を抑制しました(図18B)。その破骨細胞への抑制作用はcaspase-3を活性化することによるアポトーシス作用であることが確認されています。

図18. RAW246.7における破骨細胞分化抑制作用(A)および分化した破骨細胞に対する抑制作用(B)

以上の結果から,フコキサンチンは破骨細胞の分化を抑制することより,骨粗鬆症および関節リュウマチを予防できる可能性が示唆されました。

参考文献:
Das S.K., Ren R., Hashimoto T. and Kanazawa K. Fucoxanthin induces apoptosis in osteoclast-like cells differentiated from RAW264.7 cells. J Agric Food Chem. 58(10): 6090-5 (2010).

生体内抗酸化作用

 ヒトの生体内では,ストレスなどの刺激により活性酸素が発生します。この活性酸素は酸化傷害を引き起こし,細胞等を損傷し,種々の生活習慣病や老化促進と密接に関係しています。

そこで,コンブ抽出物(フコキサンチン含量:8.2%)の抗酸化作用を、 1,1-ジフェニル2-ピクリルヒドラジル (DPPH) ラジカル消去能を指標に評価しました。その結果,コンブ抽出物は図19に示す濃度において,濃度依存的なDPPHラジカル消去能を示しました。

図19. コンブ抽出物のDPPHフリーラジカルの消去作用

 カロテノイドの活性については抗酸化作用が最もよく知られています。フコキサンチンも他のカロテノイドと同様に強い抗酸化作用を示しますが、βーカロテン、βークリプトキサンチン、ゼアキサンチン、アスタキサンチン、リコペン、ルチン等のカロテノイドが、好気的条件下で抗酸化作用を示すのに対し、フコキサンチンは低酸素分圧下(例えば、生体内)でより強い抗酸化作用を示します。この性質がフコキサンチンの重要な特徴の一つです。

参考文献:

Nomura T, Kikuchi M, Kubodera A, Kawakami Y. Proton-donative antioxidant activity of fucoxanthin with 1,1-diphenyl-2-picrylhydrazyl (DPPH). Biochem Mol Biol Int. 42(2): 361-70 (1997).

抗糖化作用

老化の原因の大部分は,長い年月にわたって細胞における分子レベルのダメージが蓄積していくことにあります。その代表は酸化によるダメージです。もう一つのダメージ,それが糖化です。糖化反応(Glycation)はグルコースやフラクトースなどの糖とタンパク質が結合する反応であり,生体内でも生体外でも起こります。最終糖化産物(Advanced Glycation End Products,AGEs)の蓄積は,様々な老化現象を引き起こすことが報告されています。AGEsの産生抑制はアンチエイジングに効果があると予想されます。そこで,フコキサンチンに抗糖化作用があるか確認するため,AGE産生に対するフコキサンチンの影響を評価しました。

その結果,フコキサンチンは,30µg/mL以上でAGE産生を抑制する傾向を示し,100µg/mLで有意に抑制しました(図20)。フコキサンチンにAGE産生抑制が認められたことから,フコキサンチンは抗糖化作用を有すると考えられます。

図20. フコキサンチンの抗糖化作用

【実験方法】

リン酸緩衝液(pH: 7.4,D-グルコース10%,ウシ血清アルブミン1%)900µLに,フコキサンチン溶液100µLを添加し,60℃で3日間静置した。その後,励起波長:370 nm, 発光波長:440 nmにおける蛍光強度を測定し,AGE産生抑制率を算出した。
なお,フコキサンチンはDMSOに溶解後,DMSO濃度が10%になるようにリン酸緩衝液で希釈した。

参考文献:
Dyer D.G. et al. Accumulation of maillard reaction products in skin collagen in diabetes and aging. J. Clin. Invest., 91, 2463-2469 (1993).

抗がん作用

 フコキサンチンはカロテノイドの一種として、そのがん予防作用が注目されてきました。大腸がん、十二指腸がん、白血病、前立腺がん、肝臓がんの予防作用などが報告されています(文献7~15)。

フコキサンチンの体内代謝

 ヒト大腸がん由来細胞株Caco-2細胞は、3週間ほど単層培養を続けると、小腸上皮細胞様に分化することが知られており、食品成分や薬物の消化管吸収を調べるためのモデル実験によく用いられています。Sugawaraら1) は、Caco-2細胞におけるフコキサンチンの吸収について検討しました。その結果、Caco-2細胞内からフコキサンチンとアセチル基が加水分解されたフコキサンチノール(図21)が検出・同定されました。また、それは消化管内に存在するエステル分解酵素の作用により、アセチル基が加水分解され、遊離型のフコキサンチノールとして吸収されるものと予想されました。

フコキサンチノール

アマロウシアキサンチンA

図21. フコキサンチノールとアマロウシアキサンチンAの構造式

 さらに、フコキサンチンの生体内代謝について、マウスを用いて検討しました2) 。マウス一匹当たりフコキサンチン40 nmolを経口投与し、一時間後に血漿の分析を行ったところ、フコキサンチンは検出されませんでしたが、代謝物のフコキサンチノールとアマロウシアキサンチンA(図21)が検出・同定されました。

以上の結果から、図22に示すフコキサンチンの生体内代謝が推定されました。経口摂取されたフコキサンチンは、消化管内で膵液由来のリパーゼやコレステロールエステラーゼなどの脂肪酸エステル分解酵素や、あるいは小腸上皮細胞由来のエステラーゼによって、フコキサンチノールに加水分解されます。その後、消化管上皮細胞から吸収され、リンパ液や血液を介して肝臓に運ばれ、アマロシアキサンチンAへと代謝されます。

図22. 推定されたフコキサンチンの生体内代謝経路

参考文献:

1)Sugawara T, Baskaran V, Tsuzuki W, Nagao A. Brown algae fucoxanthin is hydrolyzed to fucoxanthinol during absorption by Caco-2 human intestinal cells and mice. J Nutr. 132(5): 946-51 (2002).
2)Asai A, Sugawara T, Ono H, Nagao A. Biotransformation of fucoxanthinol into amarouciaxanthin A in mice and HepG2 cells: formation and cytotoxicity of fucoxanthin metabolites. Drug Metab Dispos. 32(2): 205-11 (2004).

フコキサンチンの体内動態

1) マウスにおける体内分布

 神戸大学大学院農学研究科の金沢教授らは、フコキサンチンのマウスでの体内分布を検討しました。その結果、単回経口投与(0.1 mg/マウス)後、フコキサンチンは検出されませんでしたが、投与1時間後から、血漿、赤血球、脂肪組織および各臓器(肝臓、肺、心臓、腎臓、脾臓)において、フコキサンチンの代謝物であるフコチサンチノールおよびアマロシアキサンチンAが検出され、両物質とも約4時間後にピークに達しました。その後、徐々に減少し、約25時間後に消去しました(図23)。

図23. フコキサンチンの生体内分布動態 ●:フコキサンチノール ○:アマロシアキサンチンA

単回投与では,フコキサンチンが検出されませんでしたが,1週間継続投与(160 nmol/マウス/日)後,フコキサンチンは代謝物のフコキサンチノールおよびアマロシアキサンチンAと共に,赤血球,脂肪組織および各臓器(肝臓,肺,心臓,腎臓,脾臓)において,検出されました(図24)。血漿においては検出されませんでした。フコキサンチンは血漿以外の組織および器官に蓄積することが分りました。

図24. 継続投与によるマウス体内組織および各器官においてのフコキサンチン検出。