化粧品成分 Raw Materials for Cosmetics

オリザセラミド® Product name

効果・効能 Positie Effect

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生体内におけるセラミドの役割

セラミドは1884年にドイツの医師Thudichumによってヒト脳中から単離同定されました。その後,120年あまりの間で皮膚や細胞膜にもセラミドが存在することが明らかにされ,生体における生理的役割や薬理的応用に関する研究が進められてきました。

人の皮膚は皮下組織,真皮,表皮からなります。表皮はさらに,生体内部側(真皮側)より基底層,有棘層,顆粒層,角質層に分類されます。
各層毎に脂質の構成成分は異なり,基底層ではリン脂質及びコレステロールが主成分として存在します。基底層から顆粒層の間ではグルコシルセラミド含量が増加し,角質層ではほとんど消失します。グルコシルセラミドを前駆体として生成したセラミドは角質層に蓄積し(図1),角質細胞間脂質の主成分として40~60%を占めます(図2)。

図1. 桜の花エキスの含有成分

図2. 角質層細胞間脂質の組成

また,皮膚に存在するセラミドは単一分子種ではなく,6種類の異なったセラミド分子種から構成されています(図3)。これらのセラミドが,表皮のラメラ構造の形成と安定,水分の保持及び異物侵入防止などのバリアー機能維持に重要な役割を果たしています。

図3. 皮膚に存在するセラミド分子種6種類の構造

また芋川らは,加齢に伴って角質層重量あたりの角質細胞間脂質量は有意に減少し,中でも主成分のセラミドの減少が最も多いことを報告しています(図4)。その結果,角質層の保水及びバリアー機能が低下し,皮膚は乾燥,しわ,肌荒れ状態になりやすいと考えられています。

さらに,芋川らは,乾燥落屑皮膚疾患の一つであるアトピー性皮膚炎患者において,皮疹部および非皮疹部におけるセラミド含量が健常者よりかなり減少していること,及びセラミドの補充によって皮膚の乾燥症状や角質層の過度の剥離が改善されることを確認し,角質層セラミドの不足がアトピー性皮膚炎の一員であると考えています5)(図5)。

よって,皮膚のセラミド含量は皮膚の健康や若さの指標になり得ると考えられ,日常のセラミドの補充が皮膚恒常性維持に最も効果的,かつ必要と思われます。
以上に述べた機能性のほか,セラミドは皮膚に優れたアレルゲン耐性を付与すること(Latiら,臨床試験4)),植物性セラミドには遊離基抑制活性(抗酸化作用)やエラスターゼ,コラゲナーゼ,チロシナーゼなどの酵素抑制活性もあることから,オリザセラミド®の利用は皮膚の老化やストレスの予防にも役立つことが期待されます。

図4. 皮膚のセラミド含量の加齢変化

図5. アトピー性皮膚炎患者皮膚
におけるセラミドの減少

G. Imokawa, J. Invest. Dermatol.,
96, 523, 1991より

スフィンゴ脂質の消化,吸収,代謝

食物由来スフィンゴ脂質の消化,吸収,代謝について,Schmelzらは,ラベルしたスフィンゴミエリンをモデルマウスに投与し,腸管におけるスフィンゴ脂質の代謝と分布を検討しました。その結果,腸管のどの部位でもスフィンゴミエリンが出現し,スフィンゴミエリンの多くはセラミド及び,その代謝物に分解されることが見いだされました。スフィンゴ脂質の種類によって吸収,代謝に差があることが分かりました。また,投与後30~60分の間に腸管から肝臓に移動したスフィンゴミエリンの量は1%以下でした。これらの結果から,腸管から他の組織へのスフィンゴミエリン及びその代謝物の輸送は効率的ではないこと,スフィンゴミエリンが腸管で生体複合スフィンゴ脂質の合成原料として加水分解,吸収されることが示唆されました。

さらに,Nybergらは,スフィンゴミエリンの消化部位と消化能力を調べました。その結果,スフィンゴミエリンの消化がスフィンゴミエリナーゼにより主に小腸の中部と下部で起こること,またこの酵素がスフィンゴミエリン消化の第一段階における重要な役割を果たしていることを報告しています。

美白作用(in vitro)

マウスB16メラノーマ細胞におけるメラニン生成抑制作用

B16メラノーマ細胞を用いて,米由来スフィンゴ糖脂質のメラニン生成抑制作用(美白作用) を検討しました。その結果,米由来スフィンゴ糖脂質は濃度依存的にメラニンの生成を抑制し,コウジ酸の活性には及ばなかったものの,他の既存美白剤よりも強い抑制作用が認められました。

米由来スフィンゴ糖脂質を経口摂取した場合,吸収されたスフィンゴ糖脂質は皮膚に到達してメラニン生成抑制作用を発揮し,美白効果をもたらすことが期待されます。

図6. 米由来スフィンゴ糖脂質のメラニン生成抑制作用

【実験方法】
マウスB16メラノーマ細胞 (2×103 cells/mL) をシャーレ(60 mm dish)に播種し,10%牛胎児血清を含むD-MEM培地で24時間培養後,サンプル含有培地(スフィンゴ糖脂質は乳化して添加)に交換した。4日後,新鮮なサンプル含有培地に交換し,さらに2日後に細胞を回収した。回収した細胞の生細胞数を数えた後,細胞を2N NaOHで融解(37℃,1時間)し,450 nmにおける吸光度を測定した。

【各サンプル純度】
コウジ酸,エラグ酸,ビタミンC,アルブチン : 100 %
米由来スフィンゴ糖脂質 : 95 %以上

マウスメラノサイト(melan-a)におけるメラニン生成抑制作用

北海道大学薬学部 五十嵐教授,光武助手のグループにおいて,マウスメラノサイト細胞での米由来スフィンゴ糖脂質及びその酸分解物*のチロシナーゼ活性及びメラニン色素生成に及ぼす影響を検討しました。その結果,米由来スフィンゴ糖脂質及びその酸分解物には,濃度依存的なチロシナーゼ活性阻害作用及びメラニン生成抑制作用がみられました。

*米由来スフィンゴ糖脂質を1 N HCl含有含水メタノール溶液で加水分解(70℃/18時間)した。
n-ヘキサン/メタノールによる液-液分配で得られたメタノール層を回収し,濃縮乾燥した。

図7. メラニン生成に対する米由来スフィンゴ糖脂質の影響

図8. メラニン生成に対する米由来スフィンゴ糖脂質酸分解物の影響

【実験方法】
1) チロシナーゼ活性の測定
マウスメラノサイト細胞株(melan-a cells, 1×104 cells/well)を96well plateに播種し,200 nM TPAおよび10%ウシ胎児血清を含むRPMI1640培地で24時間培養後,サンプル(米由来スフィンゴ糖脂質純度:95%以上)を含む培地に交換し,4日培養を行った。培養上清を除去した後,1% tritonX-100含有PBS(90μl/well)を添加し,1分間振盪後,基質として10mM L-DOPA含有PBS(10μl/well)を添加し,インキュベート(1時間,37℃)後,475nmにおける吸光度を測定した。チロシナーゼ活性は各群のタンパク量で補正を行った。

2) メラニン生成量の測定
melan-a cells(3105 cells/well)を90 mm plate,又は6 well plateに播種し,1)と同様の培養を行った。終了後,細胞を回収し,細胞ペレットに1N NaOH溶液(500μl)を加えて溶解した。溶解液を加温(100℃,30分)後,405nmにおける吸光度を測定した。メラニン生成量は各群のタンパク量で補正を行った。

保湿作用 (in vitro)

セラミドの保湿作用については,多くの臨床実験により証明されています。MerrillとFutermanらは,植物性セラミドを経口摂取した場合,セラミドは消化管から吸収されて血中に入り,毛細血管を介して角質層に取り込まれ,角質層の保水機能及びバリアー機能改善に効果があることを報告しています1-3)

我々は,米由来オリザセラミド®の保湿効果を,in vitro保水能を指標に小麦,またはコンニャク由来のセラミドと比較しました。その結果,米由来セラミドは,小麦,またはコンニャク由来セラミドより優れた水分保持機能を有することが明らかとなりました。

注) 各試験サンプルは3%セラミド含有の市販品
におけるセラミドの減少

図9. オリザセラミド®の水分保持効果

【実験方法】
各植物由来セラミドの乳化液 (市販品で3%) を調製し,35℃,相対湿度40%における重量変化を8時間後に測定し,水分保持率を算出した。

ヒト皮膚線維芽細胞賦活作用

以下に示した各植物由来スフィンゴ糖脂質のヒト皮膚線維芽細胞賦活作用を検討しました。その結果,小麦以外の3種類のスフィンゴ糖脂質に,濃度依存的な線維芽細胞増殖促進活性が認められました。特に米由来スフィンゴ糖脂質は,300 μg/mlの濃度下で,他のスフィンゴ糖脂質より強い線維芽細胞増殖促進活性(163%)を示しました。

試料 :
1. オリザ油化㈱製造,米由来,純度95%以上
2. 他社製造,コンニャク由来,純度95%以上
3. 他社製造,コーン由来,純度95%以上
4. 他社製造,小麦由来,純度95%以上

図10. 各種スフィンゴ糖脂質 (300 μg/ml) の皮膚線維芽細胞の賦活作用

【実験方法】

理化学研究所から購入したHS-K細胞を,10 %ウシ胎児血清,1000 unit/mlペニシリン,100 μg/mlストレプトマイシン含有RITC80-7培地で継代培養(5 %CO2, 37 ℃)した。継代後,96穴平底マイクロプレートに細胞数を1×105 cells(100 μl/well)播種し,1%ウシ胎児血清(FBS),1000 unit/mlペニシリン,100 μg/mlストレプトマイシン含有RITC80-7培地で24時間培養後,11 μlの各試料溶液3 mg/ml (EtOH最終濃度0.5 %) を添加し,72時間培養後,Cell Counting kit-8で呈色反応を行い, マイクロプレートリーダーで450 nmの吸光度を測定した。

バリアー機能の強化

皮膚は生体最外層に存在するため,絶えず外界から様々な刺激を受けています。植物性セラミドの摂取により,皮膚のラメラ構造,及び水分蒸散や有害物侵入を防止するバリアー機能が強化され,乾癬や接触性皮膚炎の軽減に有効であることが報告されています4)

アトピー性皮膚炎症状の緩和

感作RBL-2H3マスト細胞を用いた抗原誘発脱顆粒試験

感作RBL-2H3マスト細胞における各種スフィンゴ糖脂質の脱顆粒抑制作用を検討した結果,米由来スフィンゴ糖脂質に高い抑制活性が認められました。

表1. 各スフィンゴ糖脂質の感作RBL-2H3マスト細胞における脱顆粒抑制作用

由来原料 脱顆粒阻害率 (%)
87.3 ± 2.2
小麦 82.2 ± 5.9
コンニャク 70.8 ± 5.9
トウモロコシ 64.2 ± 5.4

サンプル濃度 : 1 μg/ml, 平均値±S.E., n = 6

【実験方法】

IgE(抗ジニトロフェニル抗体)で感作したRBL-2H3細胞にスフィンゴ糖脂質(終濃度1 μg/ml)を添加して10分間インキュベート後,抗原ジニトロフェニル化ウシ血清アルブミンを加えて30 分間反応させた。上清中の遊離ヘキソサミニダーゼ活性を測定し,脱顆粒率を求めた。

マウスcompound48/80誘発掻痒モデルに対する作用

マウス(ddY, 雄)に米由来スフィンゴ糖脂質配合飼料を継続摂取させたところ,compound 48/80によって惹起された引っ掻き行動が,コントロール群より減少する傾向が認められました(図11)。compound 48/80によるヒスタミン遊離を抑制することで,引っ掻き行動を抑制するものと考えられました。

図11. 米由来スフィンゴ糖脂質のcompound 48/80誘発掻痒マウスに対する作用

【実験方法】

マウス(ddY, 雄)を4群に分け,米由来スフィンゴ糖脂質 (0,0.15,0.3および0.5%) 配合飼料を3日間自由摂取させた。次に,3%compound 48/80溶液を頚背部に皮内投与して引っ掻き行動を惹起し,掻きはじめから30分間ビデオ撮影して引っ掻き回数を数えた。

美肌作用 (ヒト臨床)

詳細は『米由来セラミド含有食品における美肌効果の臨床的検討-乾燥肌を対象とした顕微鏡的3次元的画像解析による客観的評価-』を参照下さい。

抗腫瘍作用

1) 大腸癌抑制作用

我が国の大腸癌による死亡率は,消化器癌の中で胃癌に次いで高く,欧米型の食習慣化により発症率が急増しています。琉球大学 吉見教授のグループとの共同研究で大腸発がんの変抑制効果を検討した結果,米由来スフィンゴ糖脂質が天然物由来の安全な大腸癌予防物質になりうる可能性が示唆されました。

F344ラット (5週齢,雄) に,アゾキシメタン(AOM)を週1回2週間皮下注射し,大腸癌の前癌病変であるaberant crypt foci(ACF)およびmucin depleted foci (MDF) を誘発させ,これに対する米由来スフィンゴ糖脂質(G1CM)の作用を検討しました。その結果,実験開始4週目における第2,3群(G1CM initiation期投与群)のACFとMDF発生数は,第1群 (陽性対照群) に対し,有意な抑制を示しました。また,実験開始8週目における各群のACFとMDF発生数を調べると,第1群と比較して,第4,5群 (G1CM post-initiation期投与群) においても有意な抑制が認められました(表2)。

また,腫瘍マーカーであるPCNA及びCaspase-3染色より,細胞増殖抑制のみならず,アポトーシス誘導の可能性が示唆されました(図12)。 以上より,同時投与でなくても腫瘍形成プロモーション期の投与で,前癌病変の発生低下が認められたことから,大腸粘膜内における2種類の前癌病変(ACFとMDF)発生数をマーカーとした場合,スフィンゴ糖脂質の混餌投与には,癌予防作用がある可能性が示唆されました。

表2. 米由来スフィンゴ糖脂質のAOM誘発ラット大腸癌モデルに対する作用

図12. PCNA及びCaspase-3染色

【実験方法】

F344ラット(5週齢,雄)を7群に分け,図13のように飼料およびアゾキシメタン(AOM 20 mg/kg)を週1回2週間皮下注射し,ACFとMDFを誘発した。実験開始4週目および8週目に大腸を摘出してホルマリン固定後,アルシアン青染色(pH 2.5) を行い,ACFとMDFの数を光学顕微鏡下で測定した。さらに,腫瘍マーカーであるproliferating nuclear antigen(PCNA) とcleaved caspase-3抗体を用いて免疫染色を行い,腫瘍の発生とアポトーシス誘導の有無を確認した。

第1群 : 基礎飼料をAOM投与1週間前から実験終了まで与えた。
第2,3群 : 純度 約90%のスフィンゴ糖脂質 (G1CM) 100, 250 ppm含有飼料をAOM投与1週間前から実験4週目まで,基礎飼料を実験終了まで与えた。
第4,5群 : 基礎飼料をAOM投与1週間前から実験2週目まで,G1CM含有 (100, 250 ppm) 飼料を実験3週目から実験終了まで与えた。
第6,7群 : AOM非投与群。250 ppm G1CM含有飼料または基礎飼料を通期で与えた。

図13. AOM誘発ラット大腸癌モデルの実験プロトコル

2) 扁平上皮性悪性腫瘍成長抑制作用

鳥取大学医学部の岡崎教授、藤原助教らとの共同研究の結果、オリザセラミド®が経口投与により、扁平上皮性悪性腫瘍の成長抑制効果とマウスの寿命延長効果を示すことが明らかとなりました。

NOD/SCIDマウスの頸部または背中に悪性腫瘍を移植し、腫瘍が約5 mmまで成長した後、オリザセラミド®の経口投与 (300 mg/kg/day、米由来スフィンゴ糖脂質として24 mg/kg/day) を開始しました。

その結果、オリザセラミド®経口投与群では、
① 投与14日後における扁平上皮性腫瘍体積の有意な減少(図14)
② TUNEL染色による腫瘍の組織学的所見におけるアポトーシスの促進(図15)
③ 腫瘍を移植されたNOD/SCIDマウスの寿命延長(図16) が認められました。

したがって、マウスにおいて、オリザセラミド®には扁平上皮性悪性腫瘍の成長を抑制し、延命効果を示すことが明らかとなりました。

図14. 扁平上皮性悪性腫瘍体積の比較

図15. オリザセラミド®投与によるアポトーシス促進

図16. オリザセラミド®投与が寿命に与える影響

参考文献

1) Eva-Maria S. et al., J. Nutr., 124 (5), 702 (1994).
2) Merrill A. H. Jr. et al., FASEB, 3A, 469 (1989).
3) Futerman A. H., CHAPTER 4, Current Topics in Membranes, Vol.40, 93 (1994).
4) Elian L. Fragrance Journal, 23 (1), 81 (1995).
5) 芋川 玄爾, 油化学, 44 (10), 751 (1995).
6) Lena N. et al., J. Nutr. Biochem., 8 (3), 122 (1997).