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γ-オリザノール Product name

効果・効能 Positie Effect

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向精神および中枢に及ぼす作用

γ-オリザノールは,向精神薬や中枢作動薬としての,更年期障害などに関する数多くの臨床報告があります (表1)。1-5) 佐々木ら5) は自律神経失調症および頭部外傷後遺症で長年病んでいる患者ほど効果があり、多量の投与によっても副作用が見られなかったと報告しています(表2, 3)。

その他にも,植物ステロールとの併用で老人性痴呆症,動脈硬化,脳軟化症の治療薬として用いられるに至っています。γ-オリザノールは,一般的な向精神病薬とは異なる中枢抑制作用を示しますが,その作用機序としては,視床下部におけるカテコールアミン代謝に関与するためと考えられています6)。その他の作用として,γ-オリザノールの抗ストレス作用が,ラット水浸拘束ストレス胃粘膜損傷モデル7) やマウスの条件情動刺激負荷胃粘膜損傷モデル8)を用いた実験で報告されており,前述のカテコールアミンが関与する作用であると考えられています。

表1. γ-オリザノールの更年期障害および自律神経失調症に対する作用

適 用投与量(mg/日)投与日数(日)効 果文献
更年期障害5-1010-38日更年期指数50%以上減少1
9014日更年期障害様症状76.6%改善2
15-307-14日自律神経失調症状70-90%改善(表4)3
3004-8週自覚症状80%以上改善, 血清過酸化脂質の有意改善4
自律神経失調症13521日74%で有効5
表2. り病期間と有効率との関係表3. 婦人の自律神経に対する効果
抗酸化作用

γ-オリザノールの抗酸化性は広く知られており,油脂の酸化を抑制するのに大いに役立っています。菅野ら9) はγ-オリザノール(0.5%または1%)の添加により,大豆油の熱酸化重合に対して抑制効果を発現することを報告しています。この効果にはγ-オリザノール中のフェルラ酸部位が関与していること,またBHTやγ-トコフェロール以上の耐熱性があることも明らかにしています。 またオリザ油化では,γ-オリザノールはアミノ化合物と著しい相乗性を発揮することを見出しています10)。ロダン鉄法により、一定の過酸化物価となるまでの誘導期間を測定し,γ-オリザノールとアミノ酸の抗酸化力を確認したところ,図1に示すように各アミノ酸の抗酸化力はγ-オリザノールとの併用により誘導期間の延長を示し,相乗的な抗酸化力の増強が確認できました。

γ-オリザノールは耐熱性にも優れていることから,加熱処理に必要な加工食品の製造の際には有効に作用するものと思われます。現在,γ-オリザノールは化学合成品以外の食品添加物「酸化防止剤」として収載され、使用が認められています。

図1. γ-オリザノールとアミノ酸との抗酸化性の比較と相乗作用

高脂血症や高コレステロール血症の改善作用

ハムスターを用いた実験で,γ-オリザノールが血中のコレステロールを下げることが報告されています。11) またウサギにおいても,LDL-コレステロールの動脈内皮への蓄積による粥状病変も抑制します。12) 臨床的にも,γ-オリザノールを含むコメ胚芽油の摂取13) や,γ-オリザノール製剤(医薬品)の服用14-16) により,高脂血症や高コレステロール血症の改善が報告されています(表4)。

表4. γ-オリザノール継続服用 (500 mgを1日3回) による血中コレステロールおよびトリグリセリドの変化(文献26より引用)

服用期間(週)初期コレステロール値 (mg/dL)
>260220-260220>
0282±16239±11200±19
4258±33229±19*198±23
8259±24*231±25199±17
12256±39229±17*196±32
16251±24*227±21*191±32

平均値±標準偏差, n=7-21

服用期間(週)初期コレステロール値 (mg/dL)
>300300-150150>
0396±97197±44106±24
4308±30214±80123±42
8291±64*203±80122±72
12262±82*210±99131±34*
16281±75**197±75123±68

平均値±標準偏差, n=4-20

抗炎症作用‐NFκB活性抑制作用-

マクロファージ細胞株(RAW264.7細胞)において,オリザノールの主成分であるシクロアルテニルフェルレートは,LPS刺激によるNFκBの活性化を濃度依存的に抑制します17)。さらに,炎症に深く関与するTNFα,IL-1β,COX-2,iNOSなどの遺伝子変動を,γ-オリザノールとシクロアルテニルフェルレートが強く抑制することが分かっています。これらの結果より,γ-オリザノールが各種の炎症性疾患に対して有効である可能性が予想されます。

厚生労働省の難治性疾患の指定を受けている重篤な疾患に,クローン病や潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患があります。マウスにデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)を飲水させると,潰瘍性大腸炎と酷似した腸炎が誘発されることが知られていますが,γ-オリザノールの経口投与もしくは注射投与により,その炎症症状が劇的に軽減されます。この作用には,NFκBの活性化抑制の関与が明らかになっています18)

したがって,γ-オリザノールは炎症性腸疾患症状緩和に有効と考えられます。

抗アレルギー作用

アレルギー反応は,①抗原特異的IgEが肥満細胞上のFcεR1受容体に結合する,②細胞内カルシウム濃度が上昇する,③脱顆粒反応が惹起され,ヒスタミンやプロスタグランジンD2が放出される,という一連の過程を経て起こります。

ラット由来肥満細胞株において,γ-オリザノールは,抗原刺激による肥満細胞の脱顆粒応答を濃度依存的に抑制します。その作用は,現在市販されている抗アレルギー剤の一つである「トラニラスト」よりも強く,フェルラ酸には見られないことも明らかとなっています。そのメカニズムとしては,オリザノールのIgE捕捉によるIgEと受容体(FcR1)の結合阻害が報告されています(ラット)19)

また,γ-オリザノールはIgE皮内投与による受動皮膚アナフィラキシー反応(PCA反応)を顕著に抑制することも知られています。

皮膚外用時の作用

美白作用,皮脂腺賦活作用

井端ら20) は,γ-オリザノールのチロシナーゼ阻害活性を調べたところ,L-アスコルビン酸に比べて作用は弱いものの,明らかにメラニン生成(黒化)が抑制されたと報告しています。臨床では,10 mgの皮内注射により肝斑が改善したとの報告があります。21)また、γ-オリザノールは紫外線を吸収します。22)

一方,γ-オリザノールは皮脂腺賦活作用23)を有し,1%含有軟膏の塗布により乾皮症やアトピー皮膚炎の症状の改善が見られます24)。図2において,γ-オリザノール含有水溶性軟膏を各種乾燥性皮膚疾患の患者に3回/日、12週間塗ったところ,比較的長期間の使用により皮脂腺の機能を賦活し、皮脂の分泌低下に基づく乾燥性皮膚疾患に対して有用であることを明らかにしています(図2)。

鹿熊ら25)は、皮脂腺賦活を目的とした外用製剤の応用研究の結果、遅効性ではあるが皮脂腺に直接働きかけて皮脂膜の形成を促し,皮膚の乾燥や肌荒れを予防するとしています。

これらに加え,γ-オリザノールは,抗酸化作用目的に化粧品にも配合されています26)

図2. 皮膚所見改善率の比較

その他の作用

γ-オリザノールは,婦人病薬として月経改善に効果があります27)

引用文献

1) 村瀬靖ら,更年期障害ならびに更年期障害様症候群に対するγ-Oryzanolの経口投与臨床治験例 産婦人科の実際12, 147-9 (1963).
2) 大川知之ら, 更年期障害に対するγ-Oryzanolの効果および腟内容物に及ぼす影響 産婦人科の世界, 17, 179-83 (1965).
3) 奥田宣弘ら, γ-oryzanolの作用機序と臨床経験について 産科と婦人科, 37 (11) 1488-94.
4) 石原実,更年期障害に対するγ-オリザノールの臨床効果 血清過酸化脂質に関して 日本産科婦人科学会誌, 34, 243-51 (1982).
5) 佐々木 誠ら, 自律神経失調症及び頭部外傷後後遺症に対するγ-Oryzanol(γ-OZ錠)投与の臨床的知見 臨床と研究, 41, 347-351 (1964).
6) 足高義雄ら,γ-Oryzanolの雌性性機能並びに視床下部に及ぼす作用に関する基礎的研究 産科と婦人科 43.11 1572-8
7) 板谷公和ら,γ-Oryzanolの研究 (第1報), 日薬理誌, 72, 475-81 (1976)., 板谷公和ら,γ-Oryzanolの研究 (第2報), 同誌, 72, 1001-11 (1976).
8) 市丸保幸ら,γ-Oryzanolの条件情動刺激負荷時の胃粘膜損傷ならびに小腸輸送能に及ぼす影響 日薬理誌,84,537-42 (1984).
9) 菅野秀明ら,日本食品工業学会誌,32,170 (1985).
10) 岡田忠司ら,日本食品工業学会誌,29,305 (1982).
11) Wilson T. A., et al., Rice bran oil and oryzanol reduce plasma lipid and lipoprotein cholesterol concentrations and aortic cholesterol ester
accumulation to a greater extent than ferulic acid in hypercholesterolemic hamsters. J. Nutr. Biochem. 18, 105-12 (2007).
12) Hiramatsu K., et al., Effect of γ-oryzanol on atheroma formation in hypercholesterolemic rabbits. Tokai J. Exp. Clin. Med. 15, 299-305 (1990).
13) Berger A., et al., Similar cholesterol-lowering properties of rice bran oil, with varied γ-oryzanol, in mildly hypercholesterolemic men. Eur. J.
Nutr. 44, 163-73 (2005).
14) 大沢旭ら,脂質代謝異常におよぼすγ-オリザノールの影響 新薬と臨床, 30, 785-798 (1981).
15) 斉藤康ら,脂質代謝異常におよぼすγ-オリザノールの影響 薬理と治療,8, 2839-2842 (1980).
16) 中村国雄ら,脂質代謝異常におよぼすγ-オリザノールの長期投与による影響 新薬と臨床 32, 487-90 (1983).
17) Islam M.S. et al., Antioxidant, free radical scavenging and NF-κB inhibitory activities of phytosteryl ferulates: Structure-activity studies. J. Pharmacol. Sci. 111, 328-337 (2009)
18) Islam M.S. et al., Anti-inflammatory effects of phytosteryl ferulates in colitis induced by dextran sulphate sodium in mice. Br. J. Pharmacol. 154, 812-24 (2008).
19) Oka T. et al., Cycloartenyl ferulate, a component of rice bran oil-derived γ-oryzanol, attenuates mast cell degranulation. Phytomedicine. 17, 152-6 (2010).
20) 井端泰夫,オリザノールの作用機構と化粧品への配合効果についての考察Fragrance Journal, 8 (6), 92-7 (1980).
21) 高木千枝子,γ-Oryzanol(γ-OZ)皮膚科領域への応用 17 (47), 11-13 (1963).
22) 石渡悦尭,紫外線吸収剤としての植物成分Fragrance Journal, No.43, 43-51 (1980).
23) 小林美恵ら,γ-オリザノールの局所使用の皮脂腺に及ぼす影響 西日本皮膚科,35,566-70 (1973).
24) 小林敏夫ら,1%γ-オリザノール配合軟膏の臨床効果の検討 皮膚,21,463-70 (1979).
25) 鹿熊武ら,γ-オリザノールの外用製剤への応用 香粧会誌,8 (1),31-36 (1984).
26) 土屋知太郎ら,化粧品におけるγ-オリザノールの酸化防止効果と栄養効果について Fragrance Journal,No.42, 91-93(1980)
27) 渡辺重雄ら,無月経,無排卵性月経に対するγ-Oryzanolの効果について 産婦人科の実際 14, 959-62