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ポリアミン Product name

効果・効能 Positie Effect

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ポリアミンとは第1級アミノ基を2つ以上もつ脂肪族炭化水素の総称で,体内には20種類以上のポリアミンが存在します。その中でも代表的なポリアミンとしてスペルミジン,スペルミン,プトレスシンが挙げられます(図1)。これらはヒトを含めたすべての生物に含まれますが,胎児や新生児の細胞では,ポリアミンの合成能力が高く,細胞の増殖能も高くなっています。また,ポリアミンは母親の母乳にも多く含まれている事がわかっています。

図1. ポリアミンの化学構造

ケラチノサイトに及ぼす作用

1) ポリアミン混合物のケラチノサイトにおける作用

ヒト由来のケラチノサイトを用いて,ポリアミン各種3成分の混合物(スペルミジン:スペルミン:プトレスシン = 7 :2 :1)を用いてケラチン1の発現に及ぼす作用を調べました。その結果,ポリアミンを添加することで,ケラチン1のmRNAの有意な発現促進が認められました。(図2)

図2. ポリアミン混合物のヒトケラチノサイトにおけるケラチン1のmRNA発現に及ぼす作用
発現比率は,β‐actinで補正した。 平均値±標準誤差,n=4

【実験方法】

ヒト乳房由来のケラチノサイトに,ポリアミン混合物(スペルミジン:スペルミン:プトレスシン = 7 :2 :1)100 μg/ mLを添加し,3日間培養した。細胞回収後RNAを抽出し,ケラチン1の発現を調べた。

2) 各ポリアミンのケラチノサイトにおける作用

ヒト由来のケラチノサイトを用いて,ポリアミンのそれぞれの成分であるスペルミジン,スペルミンおよびプトレスシンについて,ケラチン1タンパクの発現に及ぼす作用を検討しました。

その結果,図3に示すように,スペルミジンとスペルミンについては1mg/mLで,プトレスシンについては0.1 mg/mLにおいて,ケラチン1タンパクの発現促進が認められました。
以上,上記1), 2)の結果より,小麦由来のポリアミンは,タンパク質や核酸の合成を促進し,例えば,爪や髪の再生を助けることが示唆されました。

図3. ポリアミンの3成分がケラチン1タンパクに及ぼす作用

【実験方法】

ヒト乳房由来のケラチノサイト(3×104 cells/mL)をプレートに播種後,24時間前培養した。ポリアミン(スペルミジン,スペルミンおよびプトレスシン)0.1または1 mg/ mLを添加し,3日間培養を行った後,細胞を回収してケラチン1タンパクの発現をWestern blottingにより評価した。

爪形成促進作用

ポリアミンは表皮ケラチノサイトに豊富に存在しており,表皮や真皮の増殖に必要です。

また,爪は,爪甲,爪母,爪郭,爪床からなる角化性の上皮組織であり,爪母は爪甲(いわゆる爪の部分)のケラチノサイトの発生部位です。この部位で分化増殖したケラチノサイトが,外側へ伸びて角化することにより,爪甲が形成されます。(図4)

爪甲の強度は爪甲の厚みと曲がり具合の程度により決定され,厚みがあるほど丈夫で,また適度に曲がっていることで,外力に対応する力を持つ事がわかっています。

爪甲が硬い理由は,爪甲が硬ケラチンで形成されているためで,カルシウム含量が多いためではありません。また爪の脂質の約15 %はセラミドで構成されており,爪の水分維持に重要な役割を果たしています。

そこで,弊社では,ポリアミンの投与によるマウス後跂の爪形成に及ぼす作用を調べました。

図4. 爪の構造

1) マウス後跂爪付近のケラチン発現に及ぼす作用(ポリアミン混合物)

ポリアミンの混合物(スペルミジン:スペルミン:プトレスシン = 7:2 :1)10 mg/kg をマウスに9日間継続投与した後,後跂爪付近のケラチン1の発現を調べました。その結果,図5に示すように,ポリアミン混合物の投与により,後跂爪付近のケラチン1mRNAの有意な発現促進が認められました (A) 。また,Western blottingの結果,ポリアミン混合物を投与した方のバンドが太くなっている事より,ポリアミン投与によるケラチン1タンパクの発現量の増加が認められました(B)。

さらに,図6に示すようにHE(ヘマトキシリン・エオジン) 染色像においてポリアミン混合物の投与により,赤紫色に染色している部位(点線で囲んだ部分)の面積が増加している事より,表皮層から角質移行層への爪の形成促進が認められました。

(A)

発現比率は,β‐actinで補正した。 平均値±標準誤差,n=3-5.

(B) Control ポリアミン混合物

図5. ポリアミン混合物のマウス後跂爪付近のケラチン1mRNAおよびタンパク発現に及ぼす作用

図6. ポリアミン混合物のマウス後跂爪付近のHE染色による爪形成促進作用

【実験方法】

マウス(ICR,雄,5週齢)にポリアミン混合物(スペルミジン:スペルミン:プトレスシン = 7 :2 :1)10mg/kgを1日1回9日間経口投与した。左後跂第3指の第1関節において,Western blottingによる評価を行った。また,第4指から検査用標本を作成しヘマトキシリン・エオジン(H.E.)染色により爪断面の観察を行った。

1) ポリアミン(賦形剤未添加品)の爪形成に及ぼす作用

ポリアミン(賦形剤未添加品, ポリアミン含量: 0.2 %)の投与によるマウスの爪形成に及ぼす作用を検討しました。その結果,HE染色の爪根部の比較において,ポリアミンの投与により,表皮層(青色の顆粒を含む層)から角質移行層(黒色点線で囲んだ赤紫色の層)への促進が確認でき,爪形成の促進が認められました。(図7-A)

また,爪に多く含まれているケラチン1,16の染色を行った結果,ポリアミンを投与している群において,角質移行部におけるケラチン1,16の発現増加が認められました。(黒色点線で囲んだこげ茶色の部分の染色面積が増加)また,Western blottingの結果においても, ポリアミン(賦形剤未添加品)を投与した方のバンドが太くなっている事より,ケラチン1タンパクの発現促進が認められました。(図7-B)以上の結果より,ポリアミンはケラチン1産生の促進や角化を促進するものと考えられました。

(A)

(B)

図7. ポリアミンのマウス爪形成に及ぼす作用

【実験方法】

ポリアミン賦形剤未添加品[50および500 mg/kg (ポリアミンとして0.1および1mg/kg)]を12日間経口投与し,左後跂第3指の第1関節において,HE染色およびケラチン1染色標本を作製し評価した。

細胞賦活作用(細胞増殖促進)

ポリアミンは生物の細胞内では、特にRNAと相互作用することによってタンパク質や核酸の合成を促進し、細胞増殖因子として機能することから14),ポリアミン含有小麦胚芽抽出物を用いて,ポリアミンのヒト皮膚繊維芽細胞における細胞賦活化作用をMTTアッセイにより評価しました。結果,0.01 %~0.1 %において有意な細胞賦活を示しました。(図8)

ポリアミン含有小麦胚芽抽出物

図8. ポリアミン含有小麦胚芽抽出物のヒト皮膚繊維芽細胞における細胞賦活化作用(n=4~8)

【実験方法】

繊維芽細胞(CAI:106-05、Lot:1314)を1% FCS含有DMEMで4×104個/ml(1×104個/250μl)に調製し、48穴プレートに250μl(1×104個)ずつ播種した。一晩培養した後に、サンプル1.25~2.5μl(試料濃度:0.5%~1%)を各ウエルに添加し、3日間培養後、MTTアッセイにより細胞賦活化率を算出した。

コラーゲン産生促進作用

また,ポリアミンのコラーゲン産生能についても評価を行いました。コラーゲン産生についても,ポリアミン含有小麦胚芽抽出物による濃度依存的なコラーゲン産生促進作用を示しました。(図9)

ポリアミン含有小麦胚芽抽出物

図9. ポリアミン含有小麦胚芽抽出物のヒト皮膚繊維芽細胞におけるコラーゲン産生促進作用(n=4~8)

【実験方法】

細胞賦活能の実験方法に従って,1晩培養した繊維芽細胞(CAI:106-05、Lot:1314)を1% FCS含有DMEMで4×104個/ml(1×104個/250μl)に調整し,サンプルと無血清DMEM250μlを加えて3日間培養した。その後、培地中のコラーゲン量を測定した。

14) Igarashi K., Physiological functions of polyamines and regulation of polyamine contentin cells. YAKUGAKU ZASSHI, 126, 455-71 (2006).

発毛促進作用

 髪は永遠に伸び続けているのではなく,成長期・退行期・休止期のステップを周期的に繰り返して伸長しています。 成長期には毛母細胞が活発に分裂して毛髪の形成が行われますが,退行期に入ると毛髪を作り出す源となる毛母細胞がアポトーシスをおこすため,退行期から休止期にかけては毛髪の成長はストップします。

 Ramot Yら15,16)によると,ポリアミン(スペルミジン)を添加することによって,毛幹の伸長を促進することが報告されています。(図10:コントロールを100とした場合の毛幹の長さを%で表しています。)特に,毛髪の成長期を延長させ(図11),さらに毛包中のケラチン15のプロモーターの発現を促進させる事が報告されています。(図12:蛍光で染色された部位がポリアミンを添加する事で増加しています。)

ポリアミン(スペルミジン)濃度
図10. ポリアミン(スペルミジン)添加による毛幹に及ぼす作用

図11. ポリアミン(スペルミジン)添加による毛周期に及ぼす作用

ポリアミン含有小麦胚芽抽出物

図12. ポリアミンのケラチン15発現に及ぼす作用 (蛍光染色による)

15) Ramot Y. et al., Polyamines and hair: a couple in search of perfection. Exp. Dermatol. 19, 784-90 (2010).
16) Ramot Y. et al.,Spermidine promotes human hair growth and is a novel modulator of human epithelial stem cell functions. Plos One, 6, e22564 (2011).

皮膚老化抑制作用

ギャップ結合(GAP junction)を介した細胞間の情報伝達は、加齢や紫外線などにより低下し、正常な皮膚機能の低下を引き起こします。17,18)また,皮膚老化に最も深く関与しているのは細胞間経路の喪失です。ポリアミンは細胞間のギャップ結合を強化し、細胞間のコミュニケーションを活性化させます。ポリアミンのうち、プトレスシンとスペルミジンを比較したところ、スペルミジンにより強い作用が認められています。19)

17) Ishimura H.,Improvement of intercellular communication through epidermal GAP junction byseaweed plasmodesmata extract and its application to cosmetics. FRAGRANCE J., 31(12), 100-5 (2003).
18) Provost N. et al.,Ultraviolet A radiation transiently disrupts gap junctional communication inhuman keratinocytes. Am. J. Physiol. Cell Physio., 284 C51-9 (2003).
19) Shore L. et al., Polyaminesregulate gap junction communication in connexin 43-expressing cells. Biochem.J. 357, 489-95 (2001).

向妊娠作用(生殖能力サポート)

ポリアミンは、生殖能力に深く関与していることが知られています。20)男性においては精子の形成や運動性の向上、女性においては卵胞の発達や排卵、ホルモン産生に関与しています。さらに、胚の着床や胎盤の形成などの妊娠の過程においても重要な働きを担っています。ポリアミンは生殖能力の維持,向上に重要な栄養成分であると考えられます。

20) Lefevre P. L. etal., Polyamines on the reproductive randscape. Endocr. Rev. 26, 2011-12(2011).

寿命延長作用

体内のポリアミンは加齢に伴って減少することが知られています。高ポリアミン食(スペルミン:0.0075%、スペルミジン:0.0223%)を50週間以上与えたマウスでは、通常食または低ポリアミン食を摂取したマウスと比べて死亡率が低下しました。さらに、加齢に伴う腎糸球体の委縮を抑制し、毛皮の厚さや運動量も維持していました。21, 22)

21)  Minois N. et al., Polyamines in aging and disease., Aging, 3, 1-17 (2011).
22)  Soda K. et al., Polyamine-rich food decreases age-associated pathology and mortality in aged mice. Exp. Gerontol. 44, 727-32 (2009).

抗炎症作用

スペルミンは、LPS(リポポリサッカライド)で刺激したヒト免疫細胞(末梢血単核球)に対して、炎症性サイトカインであるTNF, IL-1および6, MIP-1aおよび1bの合成を抑制します。さらに、炎症誘導物質(カラギーナン)を作用させたマウスの足の裏の急性炎症に対して、スペルミンは炎症抑制作用を示しました。23)

ポリアミンは、ヒト免疫細胞(末梢血単核球)の細胞表面にある細胞接着分子(LFA-1)の発現を低下させます。その結果、免疫細胞が関与する慢性的な炎症反応が抑制されると考えられます24)。また,慢性炎症はアルツハイマー病、慢性関節炎、骨粗しょう症および糖尿病などの生活習慣病との関連性が示唆されており、ポリアミンはこれらに対して有効に作用すると考えられています25)

23) Zhang M. et al.,Spermine inhibits proinflammatory cytokine synthesis in human mononuclearcells: a counterregulatory mechanism that restrains the immune response. J. Exp. Med. 185, 1759-68 (1997).
24) Soda K. et al.,Spermine, a natural polyamine, suppresses LFA-1 expression on human lymphocyte. J. Immunol. 175, 237-45 (2005).
25) Soda K. et al., ポリアミンによるアンチエイジング. Food style 21, 10(10),43-54 (2006).

動脈硬化抑制作用

マクロファージや血小板の過剰な凝集は動脈硬化の要因であると考えられています。ポリアミンは、ウサギ(正常動物および高コレステロール血症動物)から得られた血小板の凝集を阻害しました。作用の強さはスペルミン>スペルミジン>プトレスシンの順でした26)

また、ポリアミンの抗炎症作用を通して動脈硬化を抑制する可能性が示唆されています27)

26)  SodaK. et al., Polyamine intake, dietary pattern, and cardiovasculardisease. Med. Hypotheses.75.299-301 (2010).
27)  De laPena N.C., Inhibition of platelet aggregation by putrescine,spermidine,and spermine in hypercholesterolemic rabbits. Arch. Med. Res.75,299-301 (2000).

放射線保護作用

ポリアミンは放射線による障害から遺伝子を保護する作用が報告されています。
ポリアミンは細胞内では核に存在しており電気的に結合して存在しています。
放射線によってDNAの核酸塩基が傷害されるのを,ポリアミンは遺伝子の高次構造を変化させることで,保護する事が報告されています28,29)

28)  Thierry D. et al., Protection against radiation-induced degradation of DNA bases by polyamines.,Radiation Res. 153,29-35(2000).
29)  Waters R.L. et al., Radioprotection of human cellnuclear DNA by polyamines: radiosensitivity ofchromatin is influenced bytightly bound spermine. RadiationRes. 151, 354-62(1999).